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[O-13-4] 地域在住後期高齢者における血管内皮機能の実態
Keywords:endothelial function, aging
【背景】血管内皮機能(%FMD)障害は加齢に伴い進行するにも関わらず,%FMDの検討は比較的中高年に限られ,血管内皮機能が終末像に近いと思われる後期高齢者の実態は不明である。また動脈硬化危険因子を有する者では駆血中に血管拡張を認めることが報告されており,駆血前の血管径を基準とする%FMDは,実際の内皮機能を過大評価する可能性がある。そこで本研究は後期高齢者の血管内皮機能検査における血管拡張の実態を調査し,次に血管内皮機能の関連要因について横断的に調査することを目的とした。【方法】対象は地域在住後期高齢者391名(年齢79.9±3.6)とした。血管内皮機能の測定にはUNEXEF(ユネクス社)を用い,%FMD,%L-FMC,ならびに血管拡張を考慮した%FMTDを指標とした。その他,年齢,性別,BMI,既往歴,服薬,血圧,採血指標,高齢者抑うつ尺度,心臓足首血管指数,握力,下肢筋力,身体活動を調査し,75-79歳,80-84歳,85-歳の3群で血管内皮機能を比較し,各調査項目との関連を検討した。【結果】前腕駆血中の血管拡張は男性41.7%,女性44.8%に認めた。女性では%FMTD,%FMDとも年齢,CAVIと関連し(p<0.05),%FMTDはHDLとも関連した(p<0.05)。男性では%FMDは抑うつ(p<0.05),%FMTDでは低強度活動時間,脳卒中既往歴と関連した(p<0.05)が,年齢とは関連がなかった。【結語】後期高齢者においては男女とも駆血中に血管拡張が生じる割合が高かったが,%FMDと%FMTDには関連因子に差がなかった。女性は年齢との関連が高いものと思われたが,男性では対象者数の少なさもあり,明らかな動脈硬化関連因子は認められなかった。