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[O-16-4] 肺動脈性肺高血圧症と慢性血栓塞栓性肺高血圧症における有害事象予測のための右室容積計測の意義 各耐容閾値による病態の比較
Keywords:pulmonary hypertension, right ventricular volume
【目的】肺動脈性肺高血圧症(PAH)と慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)にCTを用いて右室拡張末期(RVEDV),収縮末期容積(RVESV)を計測,有害事象発生に対する両群の耐容閾値を比較する。【方法】PAH 14名(男性4名,49±16歳),CTEPH 29名(男性9名,58±15歳,全例肺血栓内膜摘除術未施行))に心電図同期320列CTを用いてRVEDVとRVESVを計測した。PAH群は中央値31.5ヶ月間,CTEPH群は同21か月間,有害事象発生の経過観察を行った。有害事象は心臓死,心不全による入院と定義した。【結果】有害事象はPAH群で2名,CTEPH群で3名発生した。有害事象予測のためのROC解析で,PAH群のBest cutoff値はRVEDV 264.8cm3(感度50%,特異度100%,AUC 0.708),RVESV 215.3cm3(感度50%,特異度100%,AUC 0.667),CTEPH群のBest cutoff値はRVEDV 210.3cm3(感度100%,特異度 92.3%,AUC 0.923),RVESVは152.6cm3(感度100%,特異度92.3%,AUC 0.923)であった。Kaplan Meier 解析でPAH群においてRVEDV 264.8 cm3以上の群はそれ未満の群と比較して(P=0.038),またRVESV 215.3cm3以上の群はそれ未満の群と比較して有意に予後が悪かった(P=0.038)。同解析でCTEPH群においてRVEDV 210.3 cm3以上の群はそれ未満の群と比較して(P<0.001),またRVESV 152.6 cm3以上の群はそれ未満の群と比較し有意に予後が悪かった(P<0.001)。【結語】CTを用いたRVEDVとRVESVの計測値は,各群の有害事象予測に有用であり,その耐容閾値はPAH群がCTEPH群よりも大であった。この違いは,後者に対して肺内膜血栓摘除術のような特異的かつ有効な治療が存在すること,両群の病因や病理学的な違いの関与が示唆された。