第55回日本脈管学会総会

講演情報

一般演題(口述)

冠,肺血管

2014年10月30日(木) 16:26 〜 17:30 第5会場 (201会議室)

座長: 安藤太三(総合大雄会病院 心臓血管センター), 濱野公一(山口大学大学院 器官病態外科)

16:26 〜 17:30

[O-16-5] 慢性血栓塞栓性肺高血圧症に対する最新治療体系の確立

小泉信達, 佐藤雅人, 鈴木隼, 藤吉俊毅, 岩堀晃也, 丸野恵太, 高橋聡, 戸口佳代, 岩橋徹, 岩崎倫明, 松山克彦, 西部俊哉, 杭ノ瀬昌彦, 荻野均 (東京医科大学 心臓血管外科)

キーワード:CTEPH, Pulmonary endoarterectomy

【目的】慢性血栓塞栓症性肺高血圧症(CTEPH)に対する治療は,肺動脈内膜摘除術(PEA)が依然として第一選択であるが,最近になり経皮的肺動脈形成術(BPA)の有効性が本邦より報告され,成績向上をめざし治療体系の確立を目的に集学的治療を行っているので,その治療成績につき検討する。【対象】2012年から2014年までに27例(65(31 - 84)歳,男性10:女性17)がPEAの適応判定のため紹介となった。うち24例がPEAの適応と診断し,21例に対しPEAを行った。1例は内科入院中に突然死,1例は手術待機中,1例は手術拒否であった。PEA適応なしと診断された2例がBPAの待機中で,1例は手術適応なしとされ薬物治療となった。【結果】循環停止:56±21分,人工心肺:257±66分,手術:460±164分であった。術後呼吸・循環不全に対しPCPS+IABPを2例に施行した。15年以上の長期罹患例で,かつ血管炎を疑わせる著明な肺動脈拡大を認めた1例(4.8%)を呼吸不全+肺出血で失ったが,他は全例耐術生存した。生存退院した20例の平均肺動脈圧は,術前39±8mmHgから術後17±9mmHgへ,肺血管抵抗も699±449dynes.sec.cm-5から236±154dynes.sec.cm-5へと有意に改善した(P<0.0001)。術後遺残PHを認めた2例(9.5%)に追加BPAを施行した。【結語】CTEPHに対するPEAは十分な効果が期待できる第一選択の治療法である。しかしながら,PEA困難例や遺残PH例を認めることもあり,BPAや薬物治療を含めた集学的治療により更なる治療成績の向上が期待される。