第55回日本脈管学会総会

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一般演題(口述)

感染その他

Thu. Oct 30, 2014 5:30 PM - 6:10 PM 第5会場 (201会議室)

座長: 四方裕夫(金沢医科大学 胸部心臓血管外科)

5:30 PM - 6:10 PM

[O-17-1] 感染性胸部大動脈瘤に対する外科治療

福田和歌子, 千代谷真理, 齊藤良明, 近藤慎浩, 谷口哲, 大徳和之, 皆川正仁, 鈴木保之, 福田幾夫 (弘前大学 医学部 胸部心臓血管外科)

Keywords:Mycotic aneurysm, aorta

【背景】感染性胸部大動脈瘤は稀な疾患であるが,致死率が高く治療にしばしば難渋する。切迫破裂例や菌血症例など全身状態不良の症例においては原則と異なる治療を選択する必要がある。当科における感染性胸部動脈瘤の治療成績を検討する。【対象と方法】2002年から2014年に当科で加療した感染性胸部大動脈瘤13例を対象。原則として人工血管置換術を第一選択とし,切迫破裂やハイリスク症例に対してはbridge therapyとしてTEVARを選択した。平均年齢は73.2歳,男女比は10:3。瘤の占拠部位は弓部6例,下行3例,胸腹部4例であり破裂症例は3例であった。1例に食道瘻,1例に気管支瘻を認めた。平均観察期間は48ヶ月。【結果】発熱発症から治療までの期間は平均30日であり,入院時平均WBC 9157μl,CRP 8.3mg/dlであった。血液培養は3例で陽性であった(MSSA,MRSA,S.pneumoniae各1例)。術式はTEVAR 6例(debranch 1例),解剖学的人工血管置換 + 大網充填6例,非解剖学的バイパス + 大網充填1例。術中所見で大動脈壁に膿瘍形成を8例に認めた。在院死亡は3例(23.1%)で,いずれも縦隔炎によるものであった。術後2例に感染の再燃を認めた。1例は術前感染瘤の診断がなされずTEVARを施行した症例,もう1例は気管支瘻を伴う感染瘤の診断で緊急TEVARを施行した症例であった。【結語】感染性大動脈瘤では急激に瘤径が拡大することがあり,早急に治療開始することが望ましい。感染瘤に対するTEVARには是非があるが,血行動態回復を目的としたbridge therapyとしてのTEVARは有用である。瘤の部位や全身状態を考慮し,個々に合わせた術式の検討を行うことにより良好な手術成績をおさめることができる。