第55回日本脈管学会総会

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一般演題(口述)

動脈瘤1

Fri. Oct 31, 2014 9:00 AM - 9:40 AM 第4会場 (203会議室)

座長: 石田厚(東京慈恵会医科大学 外科学講座血管外科)

9:00 AM - 9:40 AM

[O-23-4] 孤立性腸骨動脈瘤に対する企業製ステントグラフトによる血管内治療

川崎正和, 石橋義光, 森本清貴, 國重英之, 井上望 (独立行政法人 国立病院機構 北海道医療センター 心臓血管外科)

Keywords:iliac artery aneurysm, manufactured stent-graft

【はじめに】本邦における孤立性腸骨動脈瘤に対する企業製ステントグラフトによる血管内治療に関する治療成績についての報告例は比較的少ない。今回我々は上記治療の早期及び中期成績につき文献的考察を加えて報告する。【対象と方法】2008年5月以降当科において最大径が30mm以上に拡大した孤立性腸骨動脈瘤に対する上記治療を行った8例を対象とした。動脈瘤発生部位は総腸骨動脈瘤1例,内腸骨動脈瘤6例,両者の合併症例が1例であった。直型の補助デバイスのみで治療可能な症例については使用機種としてEXCLUDERのイリアックエクステンダーを選択し,分岐型ステントグラフトを併用した症例のうち,腹部大動脈分岐部の血管径が18mm未満の症例についてはPowerlinkを選択した。また全例,内腸骨動脈に対するコイル塞栓術を施行した。術後評価目的の造影CTは原則として術直後,術後6ヶ月目,1年目,以降は1年毎に撮影した。【結果】平均瘤径は33.8mm(30~49mm)で,破裂症例はなかった。直型の補助デバイスのみで治療可能であった症例は6例で,分岐型ステントグラフトを併用した2症例中,Powerlinkを選択した症例は1例であった。術中出血量は10~150mlで,開腹手術への移行や輸血を必要とした症例はなかった。初期手技成功率,ステントグラフト開存率は100%で,術後平均観察期間は15.9ヶ月(4~33ヶ月)であった。直近のCT上エンドリークやmigration,瘤径の拡大を認めた症例は1例もなかった。術後合併症は臀筋跛行の1例のみであった。退院後の死亡症例は2例で,それぞれ肝細胞癌及び肺炎にて失った。【結語】孤立性腸骨動脈瘤に対する企業製ステントグラフトによる血管内治療は低侵襲かつ有効な治療法である。