第55回日本脈管学会総会

講演情報

一般演題(口述)

動脈瘤3

2014年10月31日(金) 10:20 〜 11:00 第4会場 (203会議室)

座長: 向原伸彦(姫路循環器病センター 心臓血管外科)

10:20 〜 11:00

[O-25-3] 当科における膝窩動脈瘤の治療成績

木村賢, 牧野能久, 須原正光, 望月康晃, 芳賀真, 根元洋光, 白須拓郎, 松倉満, 根本卓, 赤井隆文, 谷口良輔, 西山綾子, 橋本拓弥, 宮原拓也, 保科克行, 小山博之, 重松邦広, 渡邉聡明 (東京大学 血管外科)

キーワード:Popliteal artery aneurysm, Surgical outcome

【はじめに】膝窩動脈瘤はもっとも頻度の高い末梢動脈瘤であり,急性・慢性の下肢血流障害や局所圧迫症状にて発症し,limb-threateningとなり得る疾患である。当科では瘤径によらず手術を行う方針としている。【方法】1999年1月より2014年6月まで当科にて経験した膝窩動脈瘤の手術成績をretrospectiveに検討した。【結果】当科にて経験した膝窩動脈瘤は33例46肢で男24例,女9例,平均年齢66.9歳,平均瘤径32.8mmであった。合併疾患としてKlippel-trenauney症候群1例,Behçet病2例を認めた。他部位の動脈瘤は13例39瘤認めた。手術は,血栓閉塞し無症状などの理由にて非手術の10肢を除いた30例36肢に行われ,破裂4肢,閉塞12肢(急性閉塞3肢,CLI4肢)であった。術式は瘤切除+バイパス16肢,瘤空置+バイパス20肢で,グラフトは自家静脈29肢,人工血管7肢であった。術後フォローアップ期間は平均5年3か月,5年一次・補助一次・二次開存率はそれぞれ78.0%,88.7%,97.2%で,変性が原因の症例に限るとそれぞれ81.5%,93.6%,96.8%であった。合併症は急性期グラフト閉塞1例,吻合部破綻1例,人工血管感染2例(ともに破裂例で1例はBehçet病),吻合部瘤3例,グラフト狭窄1例,バイパス中枢のSFA閉塞1例,空置瘤拡大2例で,うち5例は術後3年以降に発生していた。急性閉塞およびCLI症例はすべて救肢され,大切断は破裂例で術後吻合部破綻を発症した1例のみであった。【考察】膝窩動脈瘤の手術成績は良好だが,破裂例の緊急手術時に人工血管を使用する際は感染に留意する必要がある。術後はグラフトの開存のみならず空置瘤の拡大や他部位の瘤化も念頭にフォローアップする必要がある。