第55回日本脈管学会総会

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一般演題(口述)

PAD3

Fri. Oct 31, 2014 1:56 PM - 2:52 PM 第4会場 (203会議室)

座長: 山岡輝年(松山赤十字病院 血管外科), 森田一郎(川崎医科大学附属川崎病院 血管外科)

1:56 PM - 2:52 PM

[O-28-2] 伝達麻酔を併用した腸骨大腿動脈閉塞性疾患手術

曽我部長徳 (三豊総合病院)

Keywords:conduction anesthesia, peripheral revascularization

【はじめに】閉塞性動脈硬化症の手術患者は,高齢や複数の基礎疾患のため全身状態が低下していることも多く,周術期の合併症を抑制する工夫も重要である。術後の早期離症をスムースに行うためには,術後できるだけ速い時期から会話や経口摂取,体動などの活動を開始することにより,リスクを含む患者の術後合併症を減少させるだけでなく,本人家族の治療に対する満足度アップにも貢献するものと思われる。【症例】患者は89歳の男性。右冠動脈#1 90%病変に対してPCI(DES)が行われた。その後左下肢症状が増悪し当科に紹介された。肺気腫,高血圧,高脂血症があった。左総大腿動脈99%で高度石灰化を伴っていた。ABIは右0.57 左(-)だった。PCIから約一カ月半の経過のため抗血小板剤は継続で,左下肢虚血の主な責任病変である左総大腿動脈病変に対して治療を行った。腹斜筋ブロック,大腿神経ブロックと局所にTLA液を浸潤させ,プロポフォールを経静脈投与し術中の疼痛対策を行った。手術は左外腸骨動脈から浅大腿動脈まで血栓内膜摘除術を行った。術後は大部屋に帰室しすぐに経口摂取を開始,バルン挿入はせず,翌日から歩行自由とし,その間も鎮痛剤は必要としなかった。患者は術中に手術ビデオを見ており,手術内容を良く理解されており,術直後からそれをご家族に説明するなどされ,また愁訴も少ないことよりご家族にも笑みが見られていた。【まとめ】当科では2009年から同様な方法で行った腸骨大腿動脈領域の交差バイパス術あるいは大腿動脈血栓内膜摘除術は15例であり,今後も術中の疼痛対策の質を高められるよう症例を重ねたい。