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[O-29-6] 下肢閉塞性動脈硬化症患者におけるL-カルニチン補充療法の検討
Keywords:Carnitine, VascuQOL
【はじめに】L-カルニチンは骨格筋の酸化的代謝に相互作用し,トレッドミルパーフォーマンス改善と関連がみられる。L-カルニチン投与によるASO患者の自覚症状や運動能への影響を検討した。【対象と方法】対象は2011年11月から2013年3月までの問診,アンケート調査に回答可能な下肢ASO患者32名,平均年齢69.8±11.5歳である。Fontaine I:14,II:17,IV:1名(潰瘍治癒)で,透析患者13名を含む。方法は非盲検試験でエルカルチン錠(塩化レボカルニチン300mg含有)を1日3錠(朝,昼,夕)3か月間服用。服用前,1,3か月において,血圧,体重,喫煙,総および遊離カルニチン濃度,BMI,Total,HDL,LDLコレステロール,中性脂肪,血糖,HbA1c,ABI,TBI,AI,baPWV,WIQ,VascuQOL,6分間最大歩行距離を測定。検定はWilcoxon符号付順位検定を用い,P<0.05を有意とした。【結果】総カルニチン,遊離カルニチン,アシルカルニチンは,投与前それぞれ(平均値:53.2,44.0,9.2μmol/l)に比べ1か月(119.0,87.3,31.7),3か月(117.7,90.3,27.3)ともに有意に上昇した(P<0.01)。WIQは有意差を認めなかったが,1か月で歩行速度の改善傾向(P=0.0655)を認めた。VascuQOL日本語版評価ではドメインACTIVITYの3か月で有意差が認められた(P=0.0384)。残り4つのドメインと全体評価でも改善傾向が認められた。また収縮期血圧,baPWV,AI,6分間歩行距離の改善傾向なども認められた。【まとめと考察】1.32人のASO患者を対象に,カルニチン補充効果を検討した。2.VascuQOLのACTIVITYにおいて有意な改善が認められた。3.全体として運動能の改善と動脈硬化自体の改善が示唆され,さらに期間を延長した評価が必要と考えられた。