第55回日本脈管学会総会

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一般演題(口述)

大動脈瘤

Fri. Oct 31, 2014 9:00 AM - 9:56 AM 第5会場 (201会議室)

座長: 宮本裕治(兵庫医科大学 心臓血管外科), 田村健太郎(社会医療法人社団十全会 心臓病センター榊原病院 心臓血管外科)

9:00 AM - 9:56 AM

[O-30-6] ヘパリン非投与下でのAAA開腹手術の安全性の検討

赤井淳, 古屋隆俊, 野村幸博 (総合病院国保旭中央病院)

Keywords:AAA open repair, Prophylactic Perioperative Heparin

【背景】腹部大動脈瘤(AAA)に対する開腹手術に際してのarterial thrombo-embolic complications(ATEC)の予防を目的としたヘパリン投与は広く行われており,各種ガイドラインでも推奨されている。しかしながらヘパリン投与を積極的に支持するevidenceが乏しいことや,ヘパリン投与により出血量が増大する可能性を考慮し,当科では2003年以降AAA開腹手術に際してperipheral arterial disease(PAD)合併症例以外ではヘパリンの投与を行っていない。【目的】ヘパリン非投与下でのAAA開腹手術の安全性を検討する。【方法】2003年から2014/6月までに当科で待機的AAA開腹手術を施行された449例について後ろ向きに検討を行った。【結果】449例中355例(no-heparin群)がヘパリン非投与下に手術施行され,94例(heparin群)がPAD合併のためヘパリン投与下に手術施行されていた。両群間で出血量には有意差なかった(384 vs 418 ml,p=0.35)が,ヘパリン投与後の手術時間はno-heparin群で有意に短かった(148 vs 168 min.,p<0.001)。周術期のATECはno-heparin群で19例5.4%,heparin群で4例4.3%に認め,血栓除去等の追加処置を要した症例はno-heparin群で13例3.7%,heparin群で4例4.3%であった。heparin群でATECをきたした4例中1例は下肢大切断,1例は下腿筋膜切開が必要であったが,no-heparin群では大切断や筋膜切開を要した症例はなかった。【考察・結語】heparin群,no-heparin群のいずれにおいてもATECの発症を認めたが,no-heparin群において下肢切断に至った症例はなく,少なくともPADを合併しない症例においてはヘパリン非投与下でのAAA開腹手術は安全に施行できると考えられた。