9:56 AM - 10:28 AM
[O-31-4] 総頸動脈病変を伴う内頸動脈狭窄症に対するeversion法の工夫
Keywords:CEA, eversion
【目的】内頸動脈を離断して内翻しながら内頸動脈血栓内膜剥離術(CEA)を行うeversion法は,病変が内頚動脈に限局している例や内頚動脈の屈曲蛇行が高度な例に用いられる術式であり,総頸動脈病変を伴うことの多い内頸動脈狭窄症においては適応が制限される。今回,eversion法の際に総頸動脈切開を加えることにより総頸動脈病変の併存例に対してもCEAを施行し得たので,その手技と成績について報告する。【方法】2012年7月から2014年6月までに予防的に施行した無症候性内頚動脈狭窄症に対するCEA12例のうち,総頸動脈病変を併存する6例(男性:女性=5:1,年齢69.3±2.9歳)を対象とした。手術は内頸動脈を斜めに離断し,eversion法による内頸動脈のCEAを行い,内頸動脈切離部より総頸動脈に1cmの縦切開を加えることにより総頸動脈のCEAも行った。切開部を直接吻合で閉鎖した後,内頸動脈と総頸動脈を6-0proleneによる連続縫合で端々吻合した。6例の術中因子ならびに手術成績を検討した。【成績】手術時間,内頚動脈遮断時間,出血量はそれぞれ115.8±14.6分,45.7±8.3分,59.8±71.3mLで単純eversion法の6例(104.8±7.7分,44.6±14.5分,71.0±52.9mL)と明らかな差はなかった。観察期間は短いものの12例の手術成績は良好で,脳梗塞などの重篤な合併症はなく,術後の超音波検査にて再狭窄例もなかった。合併症としてeversion法に総頸動脈切開を加えた本法に嗄声1例,嚥下障害を1例認めたが,保存的に軽快し術式との関連はなかった。【結論】本法は総頸動脈病変を併存する例に対しても有効であり,eversion法の適応拡大ならびに遠隔成績の向上につながると考えている。