第55回日本脈管学会総会

講演情報

一般演題(口述)

ステントグラフト・その他

2014年10月31日(金) 10:28 〜 11:16 第5会場 (201会議室)

座長: 渡橋和政(高知大学医学部 第二外科), 川筋道雄(熊本大学大学院 生命科学研究部 心臓血管外科)

10:28 〜 11:16

[O-32-5] 当科で経験した活動期感染性心内膜炎に合併した末梢性感染性動脈瘤の2治験例

木下亮二, 水野友裕, 大井啓司, 八島正文, 八丸剛, 黒木秀仁, 渡辺大樹, 藤原立樹, 櫻井翔吾, 竹下斉史, 倉信大, 荒井裕国 (東京医科歯科大学大学院 心臓血管外科)

キーワード:infective endocarditis, infective aneurysm

【背景】活動期感染性心内膜炎(active Infective Endocarditis: aIE)は,菌血症,塞栓症など様々な症状を呈するが,まれに感染性動脈瘤を発症することも知られている。2011年1月~2014年6月に当科でのaIEに対する心臓手術18例中で治療を要した感染性動脈瘤を2例経験したので報告する。【症例1】36歳女性。既往にSLE,ループス腎炎(透析導入)。透析後に発熱が続き,心エコーにて僧帽弁後尖に疣贅(12×9mm)を認め,血液培養ではメチシリン感受性表皮ブドウ球菌が検出され,aIEの診断で当科紹介となった。弁輪部膿瘍を伴ったSevere MRでMVRを施行。術後に疣贅による左下腿塞栓症が判明し,左下腿切断を要した。その後も炎症反応の遷延が続きCTで脾動脈瘤(33×20mm)の新たな発症を認めた。腹腔動脈分岐直後に位置していたため,コイル塞栓術を施行し抗菌薬投与を継続した。術後3年経過しているが瘤拡大や感染再燃を認めていない。【症例2】77歳男性。AS,MS,TR,APに対するAVR,MVR,TAP,CABG(4枝)の術後5ヶ月目に倦怠感,炎症反応上昇を認めた。大動脈弁位・僧帽弁位生体弁および三尖弁輪のPVEの診断にてreAVR,reMVR,三尖弁輪抜去を施行したが,術後に血小板減少が遷延していた。CTを撮影すると左腋窩動脈瘤(41×33mm)の新たな発症を認めた。人工血管置換術(PTFE 6mm)を施行し抗菌薬投与を継続した。その後は血小板数の回復を認め,炎症反応再燃を認めていない。【結語】aIEの術後に炎症反応や血小板減少が遷延するときは,原因として感染性動脈瘤も念頭に置いた全身の検索が必要である。外科的切除が根治的治療として望ましいが,症例によっては血管内治療を考慮しても良いのではないかと考えられた。