2:50 PM - 3:38 PM
[O-4-5] 腹部大動脈瘤に対する経皮的ステントグラフト内挿術の初期成績
Keywords:PEVAR, AAA
【目的】当院では循環器内科・心臓血管外科でチーム編成し,腹部大動脈瘤(以下AAA)に対してステントグラフト内挿術(以下EVAR)を行っている。当初両側鼠径部を3-5cm斜切開,大腿動脈を露出していたが,平成25年9月より一部の症例に対して経皮的に総大腿動脈穿刺しEVAR(以下PEVAR)を行っている。今回PEVARの安全性・有用性について検討を行った。【対象・方法】2012年1月から2014年5月の間にAAAの診断でEVARを行った全133例を対象とし,EVAR群をO群(102例),PEVAR群をP群(31例)とし,2群間で比較検討を行った。P群は術前にCT・エコーで適正症例を選択し,全症例perclose(片側2本ずつ)を用いてpre-close法で行った。【結果】術前因子に有意差なし。内腸骨動脈コイル塞栓をO群34例(33%),P群8例(26%)に行った。手術時間・出血量(O群:P群)は127±135:93±34分,101±116 :58±53 mlだった。術中外腸骨動脈解離等がおきた症例はO群4例(4%)P群1例(3%)だった。P群の止血成功率は96.7%(30/31例),止血不成功の1症例は開創・縫合止血した。術後O群で創合併症を3例認めたが,P群は血腫・仮性動脈瘤形成等の合併症はなかった。P群の術後30日以内においても仮性動脈瘤などの発生はなかった。またP群のほとんどの症例で術後疼痛の訴えはなかった。【考察・まとめ】手術時間・出血量ともにP群で有意に少なかった。PEVARの止血成功率は96.7%と良好で,術後初期成績は良好であった。術後創合併症のriskが低く,術後疼痛が少ないため,適正な症例選択に基づいたPEVARは安全性・有用性ともに高い手技であると思われた。しかし止血不成功症例もあり,常に開創・止血できる準備(外科医の協力体制,物品の準備等)が肝要であると思われた。