第55回日本脈管学会総会

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一般演題(口述)

EVAR2

Thu. Oct 30, 2014 3:38 PM - 4:26 PM 第4会場 (203会議室)

座長: 保科克行(東京大学医学部附属病院 血管外科), 志水秀行(慶應義塾大学 心臓血管外科)

3:38 PM - 4:26 PM

[O-5-1] Repair of small AAA

笠島史成, 遠藤將光, 岡田正比呂, 中井幹三, 小野原俊博, 古山正, 山本剛, 岡本実, 下江安司, 須原均, 高橋俊樹, 毛井純一, 佐藤克敏, 仲村輝也, 石黒眞吾, 浦田靖久, 石橋義光, 川崎正和, 岩田圭司, 半田宣弘 (国立病院機構ネットワーク研究 腹部大動脈瘤グループ)

Keywords:endovascular aneurysm repair, small diameter aneurysm

【目的】腹部大動脈瘤(AAA)の治療成績を検討するため国立病院機構多施設共同研究に14施設が症例登録している。AAAの手術適応は最大短径50mm以上とされ,50mm未満の瘤に対する治療の有益性には議論の余地がある。50mm未満のAAAの治療成績を50mm以上のそれと比較検討する。【方法】対象は2005年から2012年にAAA治療を受けた連続2568例のうち瘤径が明記された2398例(男80%,年齢75±8歳)で,AAA50mm未満1430例(L群),50mm以上971例(G群)であった。L群の治療はEVAR 28%,開腹手術(OS)72%,G群はEVAR 24%,OS 76%であった(P<0.0001)。術前ショック症例はL群18例(0.75%),G群62例(2.58%)であった(P<0.0001)。【結果】手術死亡は64例(L群1.0%,G群1.6%,P=0.0008)で,EVAR 0.5%,OS 2.2%であり,L群のEVARに限ると0.4%であった。死亡退院に対するロジスティック回帰分析では年齢,術前ASA≧3,APTT,WBC,術前肝機能障害が有意であった。L/G群,EVAR/OSに有意差を認めなかった。観察期間は2.0±2.2年,全死亡237例,瘤関連死111例であった。5年生存率はL群84.5±1.6%,G群80.1±2.1%(P=0.0018)で,5年瘤関連死回避率はL群93.7±1.0%,G群91.3±1.4%(P=0.0090)であった。瘤関連死を目的因子とした比例ハザードモデルでは年齢,術前ショック,K値,WBC,高血圧,血小板数,APTT,術前肝機能障害が有意な因子で,L/G群,EVAR/OSに有意差を認めなかった。【結論】50mm未満のAAAでも破裂ショック症例が0.75%認められる一方,L群のEVARの死亡率は0.4%であった。遠隔期の生存率,瘤関連死回避率はいずれもL群がG群よりよく,50mm以下のAAAをEVARで治療する事は許容されると考えられた。