第55回日本脈管学会総会

講演情報

一般演題(口述)

リンパ

2014年10月30日(木) 17:22 〜 18:10 第4会場 (203会議室)

座長: 廣田彰男(医療法人社団 広田内科クリニック), 新本春夫(榊原記念病院 末梢血管外科)

17:22 〜 18:10

[O-7-2] リンパ浮腫下肢の皮膚,皮下組織は硬いのか?

末廣晃太郎, 佐村誠, 上田晃志郎, 原田剛佑, 山下修, 村上雅憲, 森景則保, 濱野公一 (山口大学医学部器官病態外科学 血管外科)

キーワード:lymphedema, elastography

【目的】四肢リンパ浮腫では慢性炎症に伴う線維化により,皮膚,皮下組織の硬度が上昇すると考えられている。最近我々は,エラストグラフィーを用いて,皮膚,皮下組織に一定の力を加えた際の歪み(ストレイン)によって硬度評価を行う方法を報告したが,今回その方法を用いて,下肢リンパ浮腫の進行度による皮膚,皮下組織の硬度変化を検討した。【方法】2013年4月から2014年3月の間で,当院に通院中の悪性腫瘍術後続発性下肢リンパ浮腫患者32名,64肢(ISL 0期:18肢,I期:5肢,II期:28肢,II期晩期:7肢,III期:6肢)を対象とした。大腿および下腿内側中央で,ファントム(ソナーパッド®,日本ビー・エックス・アイ株式会社)のストレインを一定(0.35±0.12%)に保ち圧迫力を調整する方法で,エラストグラフィーを行った。【結果】大腿,下腿の皮下組織と大腿皮膚においては,各ISL病期におけるストレインの差はみられなかった。下腿皮膚ではIII期のストレインがI期,II期に対して有意に低下していたが,0期との差は認められなかった。(0期0.20±0.10%,I期0.26±0.07%,II期0.24±0.13%,II期晩期0.21±0.19%,III期0.12±0.10%)【結語】エラストグラフィーで測定したストレインからは,無症状の下肢に対してリンパ浮腫下肢の皮膚,皮下組織の硬度が上昇していることは確認できなかった。