第55回日本脈管学会総会

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一般演題(口述)

血管内治療

Thu. Oct 30, 2014 9:00 AM - 10:04 AM 第5会場 (201会議室)

座長: 飯田修(関西労災病院 循環器内科)

9:00 AM - 10:04 AM

[O-8-8] 急性大動脈解離に伴う腸管虚血に対し早期SMAステント留置が有効であった5例

山下知剛1, 南田大朗1, 鈴木友啓2, 山内英智1 (1.JA北海道厚生連 帯広厚生病院 心臓血管外科, 2.JA北海道厚生連 帯広厚生病院 外科)

Keywords:Aortic dissection, SMA

【背景】大動脈解離に伴う臓器虚血は20‐40%に合併し早期死亡率は30‐50%と報告されている。特に上腸間膜動脈(SMA)解離に伴う腸管虚血は予後不良でその死亡率は60%以上とされ早期治療が重要である。今回,急性大動脈解離に伴う腸管虚血に対しSMAステント留置が有効であった5例を経験した。【症例】平均年齢69.4歳(59-80歳)。全例男性。5例とも急性大動脈解離(DeBaykeyIIIb)によりSMAにも解離が進展し偽腔内血栓による真腔圧排を認めた。臨床症状として腹痛5例,腸蠕動音減弱5例,血便1例,下肢虚血1例,逆行性Stanford A型解離による心嚢液の貯留1例を認めた。4例に保存的加療を行ったが腹痛,腸蠕動音減弱が持続したためSMAにステントを留置した。1例は逆行性Stanford A型解離に伴う心嚢液の貯留を認めたため上行置換を追加した。術後造影CTでは全例SMA開存しており腹部症状は消失した。術後1例でアシドーシスの進行,1例で血便を認めたため試験開腹を行い2例中1例で腸管壊死を認めたため腸管切除を施行した。保存療法の4例中残り2例は術後アシドーシスの進行なく追加処置は不要であった。上行置換を追加した症例では循環停止に伴うアシドーシスは認めたが速やかに改善。全例独歩退院となった。【考察】SMA虚血では血液検査で異常値を認めた場合は既に腸管壊死まで進行している可能性が高く,腹痛,血便等の臨床症状が持続した場合は早期の血行再建が重要である。【結語】ステント留置は低侵襲で迅速かつ直接的な血行再建が望め,大動脈解離に伴う腸管虚血には有効な治療法と考えられる。