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[O-9-2] 慢性大動脈解離に対するステントグラフト術による最新治療~真腔ステントグラフトと偽腔オクルーダー挿入~
Keywords:aortic dissection, Stentgraft
【はじめに】ステントグラフト(SG)術の普及に伴い,最近では慢性大動脈解離(CAD)に対してもSG術が行われつつある。CAD治療はSGでprimary tear(PT)閉鎖のみおこなっている施設も多いが,治療が不十分のことも多い。そのため,我々は偽腔にも自作オクルーダー(OC)を挿入しexclusionをめざしている。さらに,対麻痺予防のためにNajutaや自作穴あきSGで左鎖骨下動脈(SCA)温存し治療をおこなっている。今回,その成績と手技を供覧する。【対象と結果】2007年より胸部SG術を140例施行し,CADにSG術を行った症例は7例であった。平均年齢64歳,動脈瘤最大短径の平均は58mmであった。治療はPT閉鎖のみ施行した症例が3例で,うち2例は一期的あるいは二期的に偽腔にOCを挿入した。PT閉鎖に加え,secondary tear(ST)閉鎖をおこなった症例は4例でありexclusionをえた。偽腔にOCを挿入した2例のうち1例はPT閉鎖をおこなうもSTからの血流により瘤増大を認めたため,自作OCを偽腔に挿入しexclusionさせた。もう1例は,一期的に真腔にSGを挿入し,TX2自作OCを偽腔に挿入しexclusionさせた。また,アダムキュービッツ動脈閉塞の場合はbypass,Najutaや自作穴あきSGでSCAの血流温存につとめた。そのため対麻痺などの合併症も認めていない。平均観察期間は10.5ヶ月で,動脈瘤部の偽腔血栓化は全例でみとめた。瘤径の拡大は2例で,1例はOCを偽腔に挿入し瘤縮小となった。【結語】CADに対するSG術はexclusionをめざした治療が必要であると考えるが,多くの場合,腹部分枝部tearのためexclusionは容易ではない。Exclusionのためには,真腔SGによるPT閉鎖とSTから瘤への血流遮断のための偽腔OC挿入が有用であると考えられる。