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[P-1-4] 腹腔動脈閉塞を来した正中弓状靱帯圧迫症候群に合併した下膵十二指腸動脈瘤に対してハイブリッド治療を施行した1例
Keywords:pancreaticoduodenal artery aneurysm, hybrid repair
正中弓状靱帯圧迫症候群を合併した下膵十二指腸動脈瘤に対して正中弓状靱帯切離・腹腔動脈ステント・下膵十二指腸動脈瘤コイリングを施行した1例を経験したので報告する。症例は75歳,女性,突然の腹痛で近医へ救急搬送され結腸憩室炎と診断された。CT上,膵十二指腸動脈瘤を指摘され最大径20mm多形性で治療適応とされ紹介された。下膵十二指腸動脈瘤はコイリングで血流遮断を施行し破裂予防可能と判断したが,正中弓状靱帯圧迫による腔動脈起始部閉塞が合併し,下膵十二指腸動脈血流遮断により肝動脈血流・膵臓への血流低下をきたし腹腔動脈起始部圧迫症候群症状(腹痛・体重減少)が顕性化する可能性を危惧し,正中弓状靱帯切離・腹腔動脈ステント留置を併施した。ハイブリッド手術室にて全身麻酔下,上腹部正中切開(10cm)にて開腹し,網嚢を開放し左胃動脈・総肝動脈・胃十二指腸動脈・固有肝動脈をテーピングした。腔動脈起始部前面に厚い線維性結合織を認め,正中弓状靭帯による腹腔動脈起始部圧迫を確認した。総肝動脈血流量を測定すると29ml/minで逆行性であった。正中弓状靭帯を切離し,腹腔動脈起始部を開放した後に,胃十二指腸動脈遮断で総肝動脈血流量は順行性66ml/minに増加したが,造影では狭窄が残存した。左上腕動脈・右大腿動脈にシースを挿入,膵十二指腸動脈瘤・腹腔動脈への血管内治療(コイリング・ステント留置)を施行した。総肝動脈血流量は87ml/minへ増加した。術後造影CTにて下膵十二指腸動脈瘤の血流遮断・腹腔動脈の開存を確認し,合併症なく術後11日目に独歩退院した。【結語】腹腔動脈起始部圧迫解除にはハイブリッド治療が有用であった。