第55回日本脈管学会総会

講演情報

一般演題(ポスター)

リンパその他

2014年10月30日(木) 16:38 〜 17:14 第7会場 (第2練習室)

座長: 末廣晃太郎(山口大学医学部器官病態外科学 血管外科)

16:38 〜 17:14

[P-10-3] Noonan症候群に伴う蛋白漏出性胃腸症に対するUSガイド下鼠径リンパ節穿刺リンパ管造影法及びリンパ管造影後CT診断

松本知博1, 工藤孝広2,3, 青柳陽2, 立花奈緒2, 村越孝次2, 橋田和靖1, 遠藤じゅん1, 長谷部光泉1 (1.東海大学 放射線科, 2.東京都立小児総合医療センター 消化器科, 3.順天堂大学 小児科)

キーワード:Noonan syndrome, Transnodal lymphangiography

【背景】Noonan症候群は,特異的顔貌,先天性心疾患,低身長,筋骨格系異常,リンパ系異常などを示す先天性疾患である。Noonan症候群において蛋白漏出性胃腸症を発症したという報告は非常に珍しい。我々は,Noonan症候群に発症した蛋白漏出性胃腸症に対し,USガイド下鼠径リンパ節穿刺リンパ管造影法(transnodal lymphangiography)を施行した。さらに,その直後にCT(post-lymphangiographic CT)を撮像し,病態把握を行った。【症例】症例はNoonan症候群の17歳女性。蛋白漏出性胃腸症を発症し入院した。蛋白漏出性胃腸症の精査のため,transnodal lymphangiography及びpost-lymphangiographic CTが施行された。transnodal lymphangiographyは合併症なく施行された。post-lymphangiographic CTで門脈域,横隔膜や腎門部のリンパ管及び多数の腸間膜リンパ節の描出を認めた。それだけでなく,十二指腸と空腸起始部で内腔にリピオドールのextravasationが認められた。これらの所見によって,この症例において蛋白漏出性胃腸症を発症している病態を把握することができた。【考察と結語】蛋白漏出性胃腸症を発症したNoonan症候群に対して,transnodal lymphangiographyを施行したという報告はこれまでない。transnodal lymphangiographyは従来法の足底リンパ管を露出して行うリンパ管造影法(pedal lymphangiography)と比較して低侵襲かつ簡便に施行可能であった。さらに,post-lymphangiographic CTは全身のリンパ系異常の詳細な所見をとらえることができ,病態把握に有用であった。transnodal lymphangiography及びpost-lymphangiographic CTはリンパ系異常の診断法として有用性が高いと考える。