第55回日本脈管学会総会

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一般演題(ポスター)

その他3

Thu. Oct 30, 2014 3:20 PM - 4:02 PM 第7会場 (第2練習室)

座長: 谷口哲(弘前大学 胸部心臓血管外科)

3:20 PM - 4:02 PM

[P-11-2] 膝窩動脈外膜嚢腫に対して嚢腫切除・開放術を施行した1例

池上博久, 鈴木友彰, 榎本匡秀, 宮下史寛, 森本政憲, 藤野晋, 坂倉玲欧, 木下武, 乃田浩光, 浅井徹 (滋賀医科大学 心臓血管外科)

Keywords:cystic adventitial disease, popliteal artery

【背景】外膜嚢腫(CAD: cystic adventitial disease)は比較的稀な動脈狭窄性疾患の1つで膝窩動脈に好発する。間歇性跛行を来たすため経皮的又は外科的治療の適応となる。【症例】症例は51歳男性。1カ月前よりランニング中に右下肢疼痛を自覚した。次第に症状悪化し約300mの歩行で症状出現する為近医を受診した。身体所見上は,右膝窩の軽度膨隆を認めるも足背動脈の触知は左右とも良好であった。ABIは両側正常。造影CTで右膝窩動脈に狭窄像あり,腹側の血管沿いに扁平に広がる造影効果のない低吸収域を認め血栓の存在が疑われた。一方,超音波検査で膝窩動脈の外膜と中膜の間に多房性嚢胞様エコー像を,MRI検査T2強調でもhigh intensityの多房性嚢胞性病変を認めた。以上より血栓は否定的で,右膝窩動脈CADと診断した。右膝窩S字状切開で,膝窩動脈CAD開放術を施行した。CADは,右膝窩動脈腹側に長軸約3cmに渡り外膜の膨隆・菲薄化として認めた。CADは多房性で,動脈を取り囲むように認めた。嚢壁を切開すると淡々黄透明コロイド様の内容物が噴出した。CADを全て切除又は開放し内容物を十分に除去し手術を終了した。術後症状は消失し,現在術後2カ月,症状の再発なく経過している。【考察】CADは動脈外膜の粘液変性により外膜と中間膜にコロイド様物質が貯留して動脈内腔の狭窄や閉塞を来たす。治療として,経皮的アプローチの報告もあるがその成績は良くない。CADが動脈を広範囲に閉塞している場合には,動脈の切除と自家静脈での再建を要することがある。一方,本症例の様に病変が比較的小範囲の動脈狭窄のみの場合は嚢腫切除や開放術のよい適応であり,その予後は比較的良好と報告されている。