第55回日本脈管学会総会

Presentation information

一般演題(ポスター)

その他3

Thu. Oct 30, 2014 3:20 PM - 4:02 PM 第7会場 (第2練習室)

座長: 谷口哲(弘前大学 胸部心臓血管外科)

3:20 PM - 4:02 PM

[P-11-5] 皮下埋め込み型中心静脈カテーテル用ポート挿入1年後に心タンポナーデを来した1症例

坂本一喜 (岸和田徳洲会病院)

Keywords:CV catheter, cardiac tamponade

症例は65歳男性で,大腸がんに対し大腸切除手術を施行されたが術後1年7カ月で再発し,化学療法目的で左鎖骨下静脈から皮下埋め込み型中心静脈カテーテル用ポート(以下CVポート)を挿入した。その後,主に外来通院で化学療法を施行していたが穿刺,薬剤注入に特に問題は認識していなかった。CVポート挿入してから約1年2カ月経過し大腸がん再発の病状は進行していた。外来受診時に胸腹部単純CTを施行後,全身倦怠感の訴えがあったため輸液(ビーフリード)を投与することとした。皮下ポートを穿刺し生食は注入できたが輸液は自然滴下しなかったため輸液ポンプを用いて点滴を開始し40分経過した頃から顔色不良となり冷汗も認めるようになった。血液検査,心電図を行ったが異常なく点滴開始後3時間で血圧が88/55mmHgと低下するようになった。末梢静脈ルートを確保し造影CTを施行すると心嚢液貯留を認め心タンポナーデと診断した。経皮的心嚢ドレナージを施行したところ透明の液体230mlを吸引することができ速やかに症状は改善した。中心静脈カテーテルの先端は気管分岐部の高さにあるが,左鎖骨下静脈は血栓閉塞していた。輸液が血管外漏出し心タンポナーデに陥ったと考えられるが,自然滴下の状態や投与時の血液吸引などの確認が必要と考えられた。またカテーテル先端の位置や挿入後の時期にかかわらず心タンポナーデは起こる可能性があり,点滴開始後の異常の鑑別として対処する必要があると考えられた。