第55回日本脈管学会総会

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一般演題(ポスター)

その他3

Thu. Oct 30, 2014 3:20 PM - 4:02 PM 第7会場 (第2練習室)

座長: 谷口哲(弘前大学 胸部心臓血管外科)

3:20 PM - 4:02 PM

[P-11-7] 孤立性上腸間膜動脈解離21例の経験

斉藤隆之, 沼田幸英, 山中雄二 (刈谷豊田総合病院)

Keywords:dissection, superior mesenteric artery

大動脈解離を伴わない孤立性上腸間膜動脈(SMA)解離は比較的稀な疾患である。今回我々は2006年4月から2014年1月までに21例を経験したので解離の形態,治療内容,経過について検討した。内訳は18例(85%)が男性,平均年齢は52歳(39-67歳),高血圧の併存は13例(62%)であった。CTで偶然発見された1例を除き,全例腹痛等を主訴に来院された。解離の状態は15例(71%)が血栓閉塞型で6例が偽腔開存型であった。SMA根部から解離が始まっているものが9例(43%)でそれ以外は平均3.5cm末梢から解離が始まっていた。解離長は6.6cmであった。入院治療を16例(76%)に行い,外来で様子観察としたのは発症から診断までに少し時間が経過していた5例であった。入院後基本的には安静,降圧,絶食の保存的治療を開始。そのうち腹部アンギーナが続いた1例に経皮的バルーン拡張術のみを行った。また,CTで腹水と腸管浮腫を認めた1例に対し入院当日に腹腔鏡下試験開腹術を施行したが,腸管壊死は無くそのまま手術を終えた。平均入院日数は18日で,全例軽快退院した。外来follow中,ほとんどの血栓閉塞型で偽腔が消失したが,開存型で偽腔が消失することは無く,特に高血圧を合併した2例で偽腔の増大傾向が認められた。【結語】孤立性SMA解離21例を経験し,腹部アンギーナの続く1例に血管内治療を行った。多くの症例が偽腔閉塞型で,保存的治療により偽腔が消失したが,開存型で高血圧症例では開存偽腔の拡大を認めることがあるので注意を要する。