16:02 〜 16:44
[P-12-5] 腸骨動脈静脈瘻を合併した腸骨動脈瘤の3例
キーワード:Arteriovenous fistula, MDCT
腸骨動脈瘤による動静脈瘻形成は破裂動脈瘤の2~4%,非破裂動脈瘤の0.2~1.3%に合併する比較的稀な病態である。非破裂例では出血性ショックを伴わず,腹痛や背部痛,下肢の浮腫,高拍出性心不全をきたすため,診断・治療が遅れることもある。【症例1】80歳男性。3年前にStanford B型の大動脈解離を発症。CTで大動脈径に緩徐な拡大を認めていたが,手術リスクが高く経過観察されていた。全身倦怠感のため救急要請。造影CTで右総腸骨動脈の血栓化した偽腔内への造影剤流入部から下大静脈への瘻孔が疑われた。DIC状態であり,待機的手術を予定されたが,翌朝に不幸な転機となった。【症例2】76歳男性。右下肢痛を主訴に受診。3日後に左下肢腫脹も出現した。造影CTで右総腸骨動脈瘤と下大静脈に交通を認め,緊急手術が行われた。【症例3】87歳男性。転倒を機に左下肢浮腫が出現。19日後の単純CTで左総腸骨動脈切迫破裂と診断され当院に搬送された。造影CTで左内腸骨動脈瘤と左総腸骨静脈との間に瘻孔を認めた。ステントグラフトで左内腸骨動脈分岐部を閉塞させ,左内腸骨動脈瘤内を金属コイルとNBCA(n-butyl-2-cianoacrylate)で瘻孔を塞栓した。本疾患の診断には迅速に瘻孔部を描出できる造影CTが有用である。近年,EVAR(Endovascular aortic repair)で治療しえた症例が報告されている。CT所見を詳細に検討し,治療法についても文献的考察を加え報告する。