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[P-16-1] 静脈血栓塞栓症を伴う精巣癌後腹膜転移の下大静脈浸潤例に対する下大静脈フィルター
Keywords:Testicular tumor, IVC filter
【はじめに】精巣癌後腹膜転移の下大静脈浸潤例では静脈血栓塞栓症(VTE)を伴うことがある。化学療法後の腫瘍縮小に伴う肺塞栓症の増悪を回避する目的で,下大静脈フィルター(IVCF)留置を行った。【症例】対象は精巣癌後腹膜転移の下大静脈浸潤によるVTEに対してIVCFを留置した3症例(年齢中央値39歳)である。原発部位は精巣2例/性腺外1例,全例非セミノーマ(IGCCC; intermediate 2例/poor 1例)であった。初診時のCTで腎下部下大静脈への腫瘍浸潤に起因する骨盤~下大静脈血栓と肺動脈血栓が認められた。【治療経過】IVCFはGunter tulip vena cava filterを用い,腎静脈合流部より頭側に留置した。留置期間中に抗凝固療法を2例に行った。留置期間はそれぞれ28,42,78日間であった。留置期間が1ヶ月をこえた2例に対しては,IVCFの固着を防ぐためにそれぞれ2回交換を要した。VTEは全例で縮小し,うち1 例は腫瘍マーカーが陰性となったため後腹膜リンパ節郭清術を行った。IVCFはVTE改善後に全例で抜去したが,組織癒着や傾き等により,通常の回収用デバイスのみでは難しく,形状付きカテーテルによるチルトの整復や,径の異なるスネアカテーテルを使用する必要があった。留置期間中のVTEの増悪や他の有害事象は観察されなかった。【結語】少数例での検討であるが,肺塞栓症の増悪は回避されたことより,同疾患に対するIVCF留置は有用と思われた。腎静脈上へのデバイス留置である点は本疾患において特徴的であり,管理や抜去に工夫を要する場合がある。