第55回日本脈管学会総会

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一般演題(ポスター)

静脈2

Fri. Oct 31, 2014 1:46 PM - 2:22 PM 第6会場 (第1練習室)

座長: 中村真潮(三重大学大学院 臨床心血管病解析学)

1:46 PM - 2:22 PM

[P-16-5] 動静脈瘻を伴う腎動脈瘤に起因する腎静脈瘤の一例

郡谷篤史 (広島赤十字・原爆病院 外科)

Keywords:renal vein aneurysm, aorto venous fistula

症例は61歳,女性。尿潜血陽性の精査中に,腎静脈瘤を指摘された。CTにて左腎門部に6cm大の腎静脈瘤および1.5cm大の腎動脈瘤を認め,動静脈瘻を形成していた。教科書によると,腎静脈瘤は,血流うっ滞により肺塞栓の原因になる可能性があり,治療が勧められている。治療法は,外科的切除やコイル塞栓が報告されているが,本症例は,腎動脈瘤に合併した動静脈瘻が,腎静脈瘤の原因と考えられたため,コイル塞栓による治療が可能であると判断した。左鼠径部アプローチで腎動脈造影を行い,左腎門部に動脈瘤を認め,動静脈瘻を介して,早期濃染される腎静脈瘤を確認した。マイクロコイルを用いて腎動脈瘤を塞栓し,動静脈瘻を閉鎖した。動脈瘤および動静脈瘻を介した腎静脈瘤が造影されないことを確認し,手技を終了した。しかし,翌日に突然の呼吸苦が出現し,CTにて肺塞栓をおよび腎静脈瘤内に停滞する血液を認めた。よって,抗凝固療法に加え,一時的下大静脈フィルターを留置した。その後は症状再燃なく,CTで肺塞栓の減量,新たな塞栓源のないことを確認し,下大静脈フィルターは抜去した。約1年が経過した現在は,腎静脈瘤は消退し,抗凝固療法中止後も症状の再燃は認めていない。