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[P-17-1] DVTを有する大腿骨近位部骨折に対する術前ヘパリン療法の検討
Keywords:Hip fructure, Deep venous thrombosis
【目的】大腿骨近位部骨折は高齢者に多く術前の臥床期間が長期化すれば全身状態の悪化を招く恐れがあり早期の手術が望まれる。しかし術前にDVTを有する症例では手術時期を含めた明確な治療指針はない。DVTを有する大腿骨近位部骨折患者に対する術前低用量ヘパリン療法の効果を検討した。【方法】2009.1.1から2011.12.31の3年間に当院で大腿骨近位部骨折手術を施行した症例102例のうち術前にCT,USで画像的にDVTが検出され,術前に低用量ヘパリン療法を施行した13例を対象とし,その治療効果と血栓消失確認までの期間,手術までの待機期間,術前のHb値の変化を検討した。【結果】術前に画像検索がなされた76例中23例(30%)にDVTを検出した。そのうち13例に低用量ヘパリン療法を施行し9例で血栓が消失し1例で縮小した。血栓が消失しなかった3例はいずれも治療前より画像上器質化血栓と診断されたものであった。血栓消失の確認日は治療開始後3-13日(平均6日)で遠位型のものでは4日以内に消失を確認した症例が4例(31%)あった。術前のHb値の変化は,ヘパリン療法群 -0.6±0.7mg/dl,非投与群 -0.5±0.8mg/dlと差はなかったが手術待機期間の平均値はヘパリン療法群5.5±7.6日,非投与群で3.6±6.1日とヘパリン療法群で長かった。【結論】術前画像上新鮮血栓とされた症例では術前の低用量ヘパリン療法で高率に血栓の消失が期待できる。最初の効果判定は3-4日目が適当と思われる。器質化血栓に対しては消失効果が低く治療的ヘパリン療法を行うよりは早期に手術をすべきと考える。低用量のヘパリン投与群と非投与群で術前のHb値の変化に差はなく出血のリスクは低く安全と考えられた。