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[P-18-2] 急性下肢動脈血栓閉塞症様の症状にて判明した下肢静脈血栓症の一例
Keywords:Venous thromboembolism, Acute limb ischemia
深部静脈血栓症に代表される下肢静脈血栓症は下腿疼痛と腫脹が主な症状であるが,急性下肢動脈血栓塞栓症様の症状を契機に発見されることは少ない。今回我々は急性下肢動脈血栓塞栓症様の症状にて判明した下肢静脈血栓症を経験したので報告する。症例は68歳男性。平成25年11月26日に突然の左下肢疼痛,冷感,腫脹を自覚して近医受診した。左下肢色調不良,足背動脈の触知困難であることから急性下肢動脈血栓塞栓症が疑われ,当院緊急搬送となった。身体所見では左下肢の大腿部中央付近から足趾にかけてチアノーゼを認め,腫脹が著明であった。膝窩以下は動脈触知できず,ドップラー血流計では微弱に聴取できる程度であった。緊急血管造影検査を施行したところ,血流の著明な停滞を認めたが有意狭窄や血栓陰影は認めなかった。さらに左下肢静脈造影を行ったところ,総腸骨静脈から総大腿静脈までの血栓閉塞を認めた。下肢静脈血栓症を疑い,造影CTを撮影したところ,左総腸骨静脈から総大腿静脈まで血栓陰影を認めた。血栓溶解療法,抗凝固療法,弾性ストッキング着用の加療で下肢疼痛,腫脹は改善した。フォローアップ造影CT検査では左下肢血栓は残存していたが,血栓周囲に軽度血流が認められ,今後の側副血行路の発達も見込まれるため,外来にて抗凝固療法,弾性ストッキングでの保存的加療を継続する方針で退院となった。現在も特に症状なく経過している。症状から急性下肢動脈血栓塞栓症が疑われ,速やかな血流再開が必要と判断して血管造影検査を先行させたが,今回のように両疾患の鑑別が必要なケースもあり,血管エコー検査の重要性を再認識させられる教訓的な症例であった。