第55回日本脈管学会総会

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一般演題(ポスター)

静脈4

Fri. Oct 31, 2014 2:58 PM - 3:28 PM 第6会場 (第1練習室)

座長: 大澤晋(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 心臓血管外科)

2:58 PM - 3:28 PM

[P-18-3] 下肢静脈瘤の静脈評価に関して

森住誠, 岡村賢一, 河田光弘, 末松義弘 (筑波記念病院 心臓血管外科)

Keywords:varicose saphenous veins, echo

【目的】下肢静脈瘤は表在静脈の弁機能不全及びそれに伴う血液逆流をきたし静脈圧が上昇する状態である。大伏在静脈を超音波検査で評価されることが多いが,逆流及び静脈径が測定される程度である。今回,ストリッピング手術を施行した症例に対して,静脈の術前エコー評価,肉眼的所見,病理学的診断を検討した。【方法】大伏在静脈由来の静脈瘤でストリッピングを施行した81例(平均年齢62.5±10.3歳,男性37例/女性44例)を対象とした。術前にエコーを用いて,立位の状態で大腿部の大伏在静脈径を測定し,同部位における静脈内逆流の有無を評価した。ストリッピング手術の際に摘出された静脈組織を用い大伏在静脈の径を測定し,その静脈壁の構造変化を病理学的に検討した。【結果】平均静脈径は術前8.9±2.2mm,術中9.4±2.2mmであった。静脈径とは無関係に術中静脈径と術前静脈径の差には有意差がなく,平均0.6±0.9mmであった。病理学的評価において,内膜肥厚は42例(50.6%),内皮細胞の脱落は27例(32.5%),そして中膜線維化48例/83例(57.8%)に認められたが,静脈径とは相関がなかった。【結語】瘤化した大伏在静脈はその径とは無関係に内膜肥厚及び中膜繊維化が認められる。同様に,術前静脈径と術中静脈径とはほとんど差がなく,血管自体の弾力性が乏しいと推測される。術前の静脈拡張が軽度であっても内膜及び中膜の病的変化は明確であり,適正な時期での治療が必要である。