第55回日本脈管学会総会

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講演取消

一般演題(ポスター)

静脈4

2014年10月31日(金) 14:58 〜 15:28 第6会場 (第1練習室)

座長: 大澤晋(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 心臓血管外科)

14:58 〜 15:28

[P-18-4] カテーテル治療による初期成功を得たものの1ヶ月で閉塞,しかし臨床的には改善した左腸骨静脈血栓症の一例

竹内剛, 池田大輔, 小岩弘明 (市立千歳市民病院 循環器科)

キーワード:Iliac VT, EVT

症例は32歳男性。主訴は左下腹部痛。既往歴に統合失調症があり,多量の抗精神病薬を内服している。3週間前からの左下腹部痛を主訴として,近医の整形外科を受診。MRIで左膀胱周囲に異常を認め,当院泌尿器科を紹介。造影CTをとったところ,左総腸骨静脈内に血栓性閉塞および周囲の炎症を認め,左腸骨静脈血栓症・血栓性静脈炎の診断で当院循環器科を紹介となる。その時点では肺塞栓症は認めなかったが,ハイリスク症例であり,同日IVCフィルターを留置した。第2病日に左総腸骨静脈血栓に対して,カテーテル治療を試みた。血栓は左総腸骨静脈から大腿静脈の途中まで続いており,複数回の血栓吸引をし,血栓は大量に採取できたものの,血流は再開せず。さらにウロキナーゼの血栓内直接注入後,6mmのバルーンで拡張したが,再疎通せず終了。治療後,ウロキナーゼを1週間投与したが,CTでは再疎通を確認できなかった。左下腹部痛は改善認めるも持続していたため,第14病日に2回目の治療を行った。ワイヤー通過後,IVUSで左総腸骨静起始部を観察したところ,静脈が強い扁平型になっており,動脈と腰椎に圧迫されていることが示唆された。治療はより大きい8mmのバルーンで拡張したところ,静脈内の血流再開を得ることができた。その後,左下腹部痛は消失し,第23病日で退院している。しかし,退院1ヶ月後のCTでは,左腸骨静脈は再び閉塞していた。しかし,今度は左下腹部痛も出現せず,臨床的には問題を認めなかった。積極的インターベンション治療が必要であったのか,再考される症例であった。