第55回日本脈管学会総会

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一般演題(ポスター)

血管内治療

Fri. Oct 31, 2014 1:10 PM - 1:40 PM 第6会場 (第1練習室)

座長: 柚木靖弘(川崎医科大学 心臓血管外科)

1:10 PM - 1:40 PM

[P-19-1] S状結腸癌と併存したmiddle aortic syndromeに対して血管内治療を施行した1例

田中会秀1, 東原大樹1, 大須賀慶悟1, 前田登1, 岸本健太郎1, 中村純寿1, 小野祐介1, 富山憲幸1, 中澤哲郎2, 竹政伊知朗3 (1.大阪大学大学院 医学系研究科 放射線医学講座, 2.大阪府立成人病センター 放射線診断科, 3.大阪大学大学院消化器外科学)

Keywords:percutaneous transluminal angioplasty, middle aortic syndrome

【はじめに】Middle aortic syndrome(MAS)は,胸腹部大動脈に狭窄を生じ大動脈縮窄症の亜型とされる。若年者に好発し,高率に腎動脈狭窄を合併するため難治性高血圧の原因となり,外科的血行再建が施行された報告が多い。今回,S状結腸癌に併存したMASに対して血管内治療を行い良好な結果を得た1例を経験したので報告する。【症例】60歳代女性【現病歴】2年前に腎下部大動脈に高度狭窄を指摘され,抗血小板剤内服で経過観察中であった。S状結腸癌に対して腹腔鏡下手術予定(D3郭清)となり,大動脈狭窄の治療適応につき当科紹介となった。【治療経過】CTでは腎動脈直下から下腸間膜動脈(IMA)分岐部まで大動脈径狭小化を認め,動脈硬化性変化は軽度でありMASが疑われた。IMAの発達著明で,狭窄部末梢への主要な側副路はIMAと推定され,IMA結紮に伴う下肢血流障害が懸念された。自覚症状は乏しいがABIは右0.69,左0.66であり,予備能は低いと判断し,大腸癌術前の血行再建が必要と考えた。外科的血行再建は困難で,手術室で局所麻酔下にPTAを施行した。左上腕動脈から順行性にlesion-crossの上,pull-throughを作成。右大腿動脈から逆行性にLuminexx(12mm-8cm)をdirect-stenting後,5mm,7mmバルーンで後拡張施行。圧較差は41から16mmHgに改善し,合併症なくPTAを終了した。PTA後にABIは右1.02,左0.95と改善。S状結腸切除後にABIが右0.88,左0.77と低下したが下肢虚血症状なく経過良好である。【考察】本症例は腎動脈狭窄を伴わない腎下部大動脈狭窄のため自覚症状無く,高齢期にMASと診断された稀な症例である。またMASに対するPTAの報告も非常に稀で,若干の文献的考察を加え報告する。