第55回日本脈管学会総会

Presentation information

一般演題(ポスター)

感染その他

Fri. Oct 31, 2014 1:40 PM - 2:28 PM 第6会場 (第1練習室)

座長: 小泉信達(東京医科大学 心臓血管外科)

1:40 PM - 2:28 PM

[P-20-1] 腹部大動脈人工血管置換術後の人工血管感染に対し,抗生剤単独での治療が奏功した2例

山本規央, 佐伯悟三, 平松聖史, 雨宮剛, 後藤秀成, 関崇, 大城泰平, 鈴木桜子, 田中寛, 村瀬成彦, 田中綾, 長谷部圭史, 鈴木優美, 牛田雄太, 尾崎友理, 新井利幸 (安城更生病院 外科)

Keywords:vascular graft infection, abdominal aortic aneurysm

【はじめに】腹部大動脈瘤術後の人工血管感染は,出血や敗血症を引き起こす重篤な合併症の1つである。人工血管感染の治療は感染人工血管の除去,周囲の感染組織のデブリードマン,血行再建が望ましいとされているが,侵襲性が高い。当院では抗生剤単独での治療が奏効した2例を経験したので報告する。【症例1】73歳,男性。腹部大動脈瘤に対し,人工血管置換術を施行,術後8日目に退院した。術後28日目に発熱,腹痛を主訴に救急外来を受診。血液生化学検査では炎症反応の上昇を認め,CTにて瘤周囲の脂肪織濃度上昇を認め,人工血管感染の診断にて入院。血液培養ではHelicobacter cinaediを検出した。メロペネムを19日間使用し,炎症反応・症状の改善,解熱を確認し,セフカペンに変更し,退院とした。セフカペンは6ヶ月間内服とした。以後再燃は認めていない。【症例2】71歳,男性。腹部大動脈瘤に対し,人工血管置換術を施行し,術後14日目に退院。術後22日目に発熱を主訴に内科受診。血液生化学検査では炎症反応の上昇を認め,CTにて瘤周囲の脂肪織濃度上昇を認め,人工血管感染の診断にて入院。血液培養は陰性であった。メロペネムを19日間使用し,炎症反応・症状の改善,解熱を確認し,ST合剤に変更後,退院とした。人工血管感染後約3ヶ月の現在ST合剤投与中であり,再燃は認めていない。【結語】腹部大動脈瘤術後の人工血管感染に対し,抗生剤単独での治療が奏効した2例を経験した。特に全身状態の悪い患者や重篤な既往歴のある患者に対しては,厳重な管理のもと,抗生剤単独による治療も選択肢の1つであると考えられた。