第55回日本脈管学会総会

Presentation information

一般演題(ポスター)

感染その他

Fri. Oct 31, 2014 1:40 PM - 2:28 PM 第6会場 (第1練習室)

座長: 小泉信達(東京医科大学 心臓血管外科)

1:40 PM - 2:28 PM

[P-20-7] 胸腹部大動脈瘤手術時の対麻痺予防を目的とした,一期目腹部大動脈領域手術の工夫

安藤美月, 戸塚裕一, 新垣涼子, 前田達也, 喜瀬ゆうや, 稲福斉, 仲栄真盛保, 永野貴昭, 山城聡, 國吉幸男 (琉球大学大学院 胸部心臓血管外科学講座)

Keywords:Thoracoabdominal aortic aneurysm, spinal cord ischemia

【はじめに】胸腹部大動脈瘤(TAAA)手術時のリスクファクターとしてAAA人工血管置換の既往は重要である。今回我々はI型解離術後の残存広範囲TAAAに対し,二期に分けて人工血管置換術を予定し,その一期目の腹部大動脈人工血管置換術時において脊髄血流温存を目的として腰動脈再建を行ったので報告する。【症例】55歳,男性。2002年にI型大動脈解離に対し上行弓部大動脈人工血管置換術を施行。2003年,Th7までの胸部下行大動脈瘤に対し人工血管置換術を施行するも,肋間動脈再建は行わなかった。2012年に大動脈基部病変に対しm-Bentall術が施行された。今回,Th7(瘤径56mm)から両総腸骨動脈(瘤経45mm)までの広範囲大動脈瘤病変に対し手術目的に当科紹介となった。【手術】手術は2期的に人工血管置換術を行うこととした。先行置換する腹部大動脈のL2,L4の腰動脈の発達が良好で,その血行再建が2期目のTAAA手術時の脊髄血流保持に重要と考えた。また,腰動脈再建時の出血に対処するため部分体外循環を補助手段として用いた。あらかじめY型人工血管に腰動脈再建用の側枝および部分体外循環用の側枝を吻合して用いた。再建の順序は,1)両側外腸骨動脈再建し部分体外循環を開始した。次ぎに,2)腎動脈下腹部大動脈遮断,腰動脈(L4)再建,3)中枢側吻合,4)IMA再建,5)両内腸骨動脈再建で行った。術後再建腰動脈の良好な開存を認め,軽快退院した。【結論】近年,脊髄循環における側副血行路の重要性が明らかとなってきている。今回,次期TAAA手術時のリスクファクターを回避する目的で,腹部大動脈瘤人工血管置換術時,腰動脈を再建しその開存を確認した。