第55回日本脈管学会総会

講演情報

一般演題(ポスター)

先天性

2014年10月31日(金) 14:28 〜 14:58 第6会場 (第1練習室)

座長: 大須賀慶悟(大阪大学大学院医学系研究科 放射線医学講座)

14:28 〜 14:58

[P-21-3] 遺残坐骨動脈瘤閉塞に加えて腸骨大腿動脈領域の血栓症を合併した一例

大橋雄一1, 赤井淳1, 早川直樹2, 神田順二2, 古屋隆俊1, 野村幸博1 (1.総合病院国保旭中央病院 外科, 2.総合病院国保旭中央病院 循環器内科)

キーワード:persistent sciatic artery, hybrid procedure

遺残坐骨動脈(PSA)は稀な先天性血管形成異常であり,瘤化や閉塞による症状を呈し初めて指摘されることが多い。PSA瘤閉塞に腸骨大腿動脈領域の血栓症を合併し,総腸骨動脈(CIA)から大腿深動脈(DFA)に対する血栓除去術及びステント留置を行い救肢した一例を経験したので報告する。症例は心房細動の既往がある63歳女性。特に誘因なく右下肢跛行が出現したが自宅で経過観察していた。その4日後に突然右下腿に疼痛と異常感覚が出現し当院他科を受診するも診断がつかず帰宅した。症状持続したため翌日当院内科を再診し,下肢急性動脈閉塞症を疑われ外科外来を受診した。診察時,右足部に色調不良があり,疼痛及び運動・感覚障害を認めた。造影CTで右CIAから外腸骨動脈(EIA),内腸骨動脈,総大腿動脈,DFAの閉塞を認めた。また全長に渡って閉塞した完全型PSAを認め,一部は瘤化していた。以上より右CIA-DFA閉塞,PSA瘤閉塞による急性下肢虚血と診断した。両側伏在静脈が細径であり自家静脈を用いたバイパス術は困難と判断し,DFAの血流再開を目的にCIAからDFAまでの血栓除去術を緊急で施行した。大量の新鮮血栓が除去されたがCFAのflowは不良で,腸骨動脈領域の狭窄が疑われた。翌日血管造影を施行しEIA近位に高度狭窄を認めた。同部位にステントを留置したところ良好な血流が得られた。以後,右下垂足は残存したものの安静時疼痛は消失し,装具装着下に歩行可能となった。PSA閉塞に腸骨大腿動脈領域の血栓症を合併した稀な病態を経験したので報告する。本症例ではバイパス術が施行困難であったが,腸骨大腿動脈領域へ治療介入し救肢することができた。