第55回日本脈管学会総会

講演情報

一般演題(ポスター)

冠・肺血管

2014年10月31日(金) 13:10 〜 13:52 第7会場 (第2練習室)

座長: 小宮達彦(倉敷中央病院 心臓病センター 心臓血管外科)

13:10 〜 13:52

[P-25-2] von Recklinghausen病に合併した冠動脈瘤の1例

末松義弘, 森住誠, 岡村賢一, 河田光弘 (筑波記念病院 心臓血管外科)

キーワード:von Recklinghausen, coronary artery aneurysm

症例は41歳男性。以前より,他院にてI型神経線維腫症(von Recklinghausen病)と診断されていた。2008年1月頃より労作時前胸部絞扼感があり,当院循環器内科に受診。カフェオレ斑と多発性皮下結節を認めた。既往歴として糖尿病,高血圧,高脂血症,川崎病などは認めず。心電図上,V1,2誘導にてQSパターンおよびSTの上昇あり。心臓超音波検査では,前壁中隔領域から心尖部にかけて壁運動低下が低下。冠動脈造影にて75%狭窄を伴った右冠動脈瘤および左前下行枝の99%狭窄を認めた。核医学検査にて前壁中隔領域のviabilityがあるものと診断され,当科コンサルト。手術は拍動下冠動脈バイパス術x2枝(左内胸動脈-左前下行枝,右内胸動脈-橈骨動脈-後下行枝)を施行した。両側内胸動脈,橈骨動脈はdenarvationも考慮し,ハーモニックスカルペルにてcomplete skeletonizationを行った。内胸動脈,橈骨動脈を含めたすべての血管組織は非常に脆かったため,慎重に剥離,吻合操作を行った。術後経過は良好であり,術後造影してグラフトの開存が確認され退院となった。現在術後6年経過しているが,フォローアップの冠動脈CTにてもグラフトは瘤化,閉塞することなく開存しており,また右冠動脈瘤は完全に閉塞し,径の拡大も認めていない。von Recklinghausen病は,カフェオレ斑,多発性皮下結節および虹彩過誤腫を特徴とする常染色体優性遺伝の神経皮膚疾患である。本疾患に伴う血管病変は稀であり,さらに冠動脈病変の報告はほとんどない。今回われわれは冠動脈瘤を合併したvon Recklinghausen病の1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する。