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[P-29-1] EVARが有効であった大動脈十二指腸瘻の1例
Keywords:Aortoduodenal fistula, EVAR
症例は75歳男性。13年前に腹部大動脈瘤に対して開腹人工血管術施行された。当院搬送2カ月前に吐血にて他院に入院したが,上部消化管内視鏡検査は施行していなかった。今回タール便と下血を主訴に当院へ救急搬送された。緊急上部内視鏡検査にて十二指腸下行脚から水平脚に凝血塊を伴う拍動性のびらんを認め,腹部CT検査にて十二指腸に接する中枢吻合部仮性動脈瘤を認めたため,二次性大動脈十二指腸瘻と診断した。全身状態不良につき開腹手術困難であったため出血コントロール目的に緊急EVAR施行した。術中大動脈造影では腎動脈下5cm部位の中枢吻合部およびYグラフト左末梢吻合部に仮性動脈瘤を認めたため,腎動脈直下から中枢・末梢吻合部を覆うべくGore Excluderを内挿した。術後抗生剤投与,栄養管理を行い,全身状態を安定させ,術後23日目に大動脈十二指腸瘻に対する二期的手術として,人工血管含めたデブリードマン,瘻孔閉鎖,大網充填術施行した。術後癒着性腸閉塞,廃用による嚥下機能低下等を認め,入院は長期化したが,術後103日目軽快退院となった。腹部大動脈瘤術後の大動脈十二指腸瘻は1%から4%と発生頻度は低いが,大量出血を伴うことがあるため致死率は高い重大な合併症の一つである。従来は腋窩-両側大腿動脈バイパス後に感染人工血管を抜去するか,感染人工血管抜去後に解剖学的人工血管置換術を行うのが一般的だが,侵襲の大きな手術となるなど課題も多い。近年ステントグラフトを橋渡しとした治療も散見されてきており,若干の文献的考察を加え報告する。