第55回日本脈管学会総会

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一般演題(ポスター)

動脈硬化1

Thu. Oct 30, 2014 4:32 PM - 5:08 PM 第6会場 (第1練習室)

座長: 冨山博史(東京医科大学 第二内科)

4:32 PM - 5:08 PM

[P-3-3] 失神を契機に診断された膝窩部骨軟部腫瘍が原因による深部静脈血栓症と肺動脈血栓塞栓症が引き起こされた1症例

山崎正之1, 中野槙介2, 柴田浩遵2, 吉永仁香1, 小川正子1, 藤田淳子1, 高岡理恵1, 衣笠宏1, 志手淳也1 (1.社会福祉法人恩賜財団 大阪府済生会中津病院 検査技術部, 2.社会福祉法人恩賜財団 大阪府済生会中津病院 循環器内科)

Keywords:DVT, soft tissue tumors

症例は40歳代男性。2014年某月某日に通勤時に駐車場にて失神し,すぐに意識回復したが,その後再度失神しているのを発見され,当院に救急搬送された。来院時,意識清明であり,神経学的異常は認めなかった。また,軽度の呼吸困難と酸素化の低下および右下腿部に腫脹を認めた。血液検査にてD-dimer高値,心電図にて脈拍120拍/分と洞性頻脈,S1T3,V1からV3に陰性T波を認めた。心エコー図検査では右室圧の上昇と左室圧排像を認めた。以上の所見から,肺血栓塞栓症(PE)による失神を疑い,塞栓原検索のため下肢静脈エコー検査が追加され,右膝窩静脈に接する形で腫瘤像を認め,末梢側は多発血栓像を認めた。確認のため造影CT検査を施行した。両側肺動脈に血栓を認め,右室,右房の拡張を認めた。右膝窩に60×65×100mmの内部不均一な腫瘤影とそれより末梢の静脈に散在する血栓像も認めた。血栓が下腿に限局しており,IVCフィルターの留置は行わず,フォンダパリヌクスナトリウム及びワーファリンにて抗凝固療法を開始した。第2病日,MRI検査にて右膝窩に多結節状の内部不均一な腫瘤を認め,悪性骨軟部腫瘍が強く疑われた。膝窩動脈や骨への浸潤は指摘できなかった。治療に奏効し,呼吸状態改善し,心エコー検査にて右室圧改善・左室圧排像も消失した。失神を呈した肺動脈血栓塞栓症は重症例が多い。また悪性腫瘍に伴うDVTは骨盤内臓器由来のものが多く,稀な疾患である悪性骨軟部腫瘍によるDVTの報告は少ない。今回,失神を契機に診断された膝窩部軟部腫瘍が原因によるDVTとPEが引き起こされた1症例を経験したので報告する。