第55回日本脈管学会総会

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一般演題(ポスター)

その他2

Thu. Oct 30, 2014 3:56 PM - 4:32 PM 第6会場 (第1練習室)

座長: 細井温(杏林大学医学部 心臓血管外科学)

3:56 PM - 4:32 PM

[P-6-1] 術前に肺動脈中枢の肺塞栓が発見された2例について

小島淳夫, 神山公希, 澤田成朗, 野田純代, 日野浩司 (東名厚木病院 外科)

Keywords:pulmonary thromboembolism, preoperative period

【はじめに】以前,我々はエコーによるスクリーニングから,外科手術前の深部静脈血栓症(DVT)合併率が5.4%であったと報告した。術前から中枢型のDVTや肺塞栓症(PE)を合併する例もあり,今回術前のCTで肺動脈中枢にPEが発見された2例を経験したので報告する。【症例1】68歳女性。BMI 29.8。入院6週間前に胸部不快感を自覚。その後血便精査からS状結腸癌再発と診断され手術予定となった。入院3週間前のCTで右肺動脈主幹部と左葉動脈中枢にPEがみられた。入院後に再検したCTでPEは退縮傾向,両膝窩静脈以下に退縮したDVTがみられた。明らかな右心負荷はなく手術は延期せず低位前方切除術を行った。周術期は弾性ストッキングとヘパリンを使用し,術後ワルファリンを導入して退院となった。【症例2】65歳女性。BMI 29.4。入院6週間前に胸部不快感があり,他院救急外来で発作性上室性頻拍と診断。巨大な左嚢胞性乳腺腫瘍の手術予定であったが,入院1週間前のCTで両肺動脈主幹部にPEがみられた。再検したCTで肺動脈中枢のPEと両膝窩静脈以下のDVTがみられ手術を延期した。ワルファリンと弾性ストッキングを使用し,3ヵ月後に手術予定とした。2ヶ月後,腫瘍から出血したためワルファリンを中断。手術直前に再検したCTでPEとDVTは著明に縮小していたが,左卵巣静脈に新たな血栓が確認された。手術は乳房切除,リンパ節切除,植皮を行い,術後ワルファリンを再開して退院となった。【考察】重篤なPEは致命的となることがあるため,今回報告したような術前に合併するPEやDVTにも注意を向ける必要がある。【まとめ】術前に肺動脈中枢のPEが発見された2例について,周術期管理と経過ついて報告した。