第55回日本脈管学会総会

Presentation information

一般演題(ポスター)

その他2

Thu. Oct 30, 2014 3:56 PM - 4:32 PM 第6会場 (第1練習室)

座長: 細井温(杏林大学医学部 心臓血管外科学)

3:56 PM - 4:32 PM

[P-6-3] ペースメーカー植込み側にAVF造設し,術後管理に難渋した透析患者の1例

鶴岡歩1,2, 林賢三1, 野口正仁2, 本田正典2, 鳥橋貞好1, 藤野高久1, 垣尾匡史1, 四方典裕1, 白鳥健一1, 三浦拓郎1, 神田陽子1, 井上賀元1, 木下千春1, 神田千秋1 (1.京都民医連中央病院 腎循環器センター, 2.京都民医連中央病院 血管外科)

Keywords:SRPP, Steal syndrome

【症例】74歳女性,透析歴28年(原疾患:慢性腎炎),来院2日前に左前腕AVF閉塞し,手術目的に入院。2年前に洞不全症候群に対して右鎖骨下静脈にpacemaker(DDD)留置。【経過】左前腕は過去に複数回の手術歴あり新たにAVF造設可能な箇所なく,pacemaker留置側であったが,術前超音波検査にて可視範囲に明らかな閉塞がないことを確認し,右前腕でAVF造設した。POD10より右上肢の腫脹が見られ,手指の痺れと冷感が出現した。超音波検査では吻合部より末梢の橈骨動脈で逆行性の血流を認め,症状と合わせてSteal症候群と診断した。上肢の動脈には明らかな狭窄は認めず,鎖骨下静脈では石灰化した弁によると思われる狭窄が疑われた。POD33に実施した血管造影検査にて右鎖骨下静脈に完全閉塞を認めたため,引き続きPTAを施行した。術前SRPPは38mmHg(第1指)であり,術中もSRPP継続監視した。バルーン拡張後に36mmHgとなり,治療終了時点では32mmHgであった。治療に伴う手指の痺れや冷感等の症状増悪は認めなかった。POD35には上肢の腫脹軽減し,手指の痺れと冷感も改善した。【考察】本症例はSteal症候群を合併しており,中心静脈に対するPTAにより更に盗血が進み手指の症状増悪することが予想されたため,術中も継続してSRPPを測定した。透析患者におけるSteal症候群の重症度別の手指SRPP値については,1度48.4±11.7mmHg,2度 35.8±13.5mmHg,3度 24.7±10.0mmHg,4度 17.3±2.4mmHgであったとの報告もある。今回SRPP 30mmHg以上維持するように術中管理し,特に合併症なく治療することができ,有用であったと思われる。更にpacemaker leadによる狭窄,閉塞病変に対するPTAについても考察し,報告する。