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[P-6-5] 浅大腿静脈グラフトを用いて下大静脈血行再建を行った,後腹膜脂肪肉腫の1切除例
Keywords:IVC reconstructive, femoralis vein graft
【背景】悪性腫瘍の下大静脈浸潤に対して,下大静脈合併切除,再建を要することがしばしばある。直接縫合による再建では狭窄が危惧されるような症例では,人工血管による置換,パッチ形成が用いられるが,消化器外科手術と併施する際には,術後感染の危険性が高まる。今回われわれは,後腹膜脂肪肉腫再発例において,肝後区域,十二指腸とともに,広範な下大静脈合併切除を行い,浅大腿静脈グラフトによるパッチ形成で下大静脈血行再建を行った症例を経験したので報告する。【症例】55歳女性。4年前に右後腹膜腔に認めた脂肪肉腫に対し腫瘍切除術,右腎臓合併切除術を施行した。術後3年で局所再発を認め,腫瘍切除術が施行された。術後半年で再度局所再発が出現し,急速な増大を認め,当院に紹介となった。局所再発腫瘍は7cm大で,肝後区域,横隔膜脚,十二指腸,肝部下大静脈への浸潤が疑われた。明らかな遠隔転移を認めなかったため,腫瘍切除術の方針となった。手術は,肝後区域切除術,十二指腸部分切除術とともに,肝部下大静脈後壁半周を18cmにわたって合併切除し,en blocに腫瘍を切除した。左浅大腿静脈グラフトを採取し,パッチ形成で下大静脈血行再建を行った。術後経過は良好で,術後34日目に自宅退院となった。現在まで無再発で外来通院中である。【結語】広範な下大静脈合併切除時の血行再建に,浅大腿静脈グラフトによるパッチ形成を行い,良好な結果が得られた。浅大腿静脈グラフトは十分な長さを,安全に採取可能であり,術後感染のリスクも低く,下大静脈再建において有用であると考えられた。