第55回日本脈管学会総会

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パネルディスカッション

下肢静脈瘤の血管内レーザー治療の合併症と対策

Fri. Oct 31, 2014 10:20 AM - 11:50 AM 第2会場 (アイシアター)

座長: 春田直樹(たかの橋中央病院 血管外科), 杉山悟(広島逓信病院 外科)

10:20 AM - 11:50 AM

[PD-1-1] 高出力Clear tip modeによる血管内レーザー焼灼術の有害事象

榊原直樹1, 神作麗1, 明石浩和1, 島袋高志1, 山岡啓信1, 天野篤2 (1.江戸川病院 心臓血管外科, 2.順天堂大学 心臓血管外科)

Keywords:endovenous laser ablation, varicose vein

【目的】パルス幅100μsecに短縮したClear tip mode(CTM)による血管内レーザー焼灼術(EVLA)において,高出力が有害事象を増加させるか検討した。【方法】103例(103肢)のGSVを対象に,1320nmパルスレーザーによるEVLA(CTM)を施行した。年齢67歳,女性69例(67%),CEAP分類2.9。12Wで焼灼した91肢(12W群),15Wは12肢(15W群)とし,GSV径6.0mm以上は15W群とした。鎮痛剤は頓服で6錠を処方した。評価項目は6か月後の静脈閉塞率,EHIT発生率,1週間後の皮下出血(grade 0:無,1:穿刺による淡いもの,2:大腿1/3以下,3:大腿1/3以上),1週間後と1か月後のvisual analogue scale(0~10)によるpain score,鎮痛剤内服錠数,鎮痛剤不要率,術前と1か月後のCIVIQ2スコア(改善率)とした。【結果】EVLA単独施行は17肢(18.7%),3肢(25%),GSV外径は5.9±0.9mm,7.4±1.0mm,LEEDは120±1.2J,150±0.2Jであった。静脈閉塞率は両群とも100%で,術後6カ月のGSV外径は2.1mm(収縮率:64%),3.0mm(60%)でどちらも静脈内腔は不明瞭であった。皮下出血の平均gradeは 0.26,0.09,grade 0率は77%,92%で,皮下出血はすべてgrade1のみであった。EHITは両群とも0%,pain scoreは術後1週間で0.24,0.82,術後1か月で0.03,0.18,鎮痛剤内服錠数は0.68錠,0.73錠,EVLA部位の術後1週間までの鎮痛剤不要率は90肢(99%),11肢(92%),CIVIQ2スコアは34.9から28.1(19.4%),33.6から26.0(22.6%)であった。【結語】CTMは高出力でも有害事象が少なく,短期静脈閉塞も問題なかった。CTMは安価なベアファイバーでも優れた臨床成績が期待できると思われる。