CVTによる脈管検査

[PR-11-3] 下肢静脈エコー検査時に見られた主病変以外の所見に関する検討

^〇久保田義則¹, 山本義徳¹, 濱口浩敏², 顔邦男³, 山田章貴³ (1.北播磨総合医療センター 中央検査室, 2.北播磨総合医療センター 神経内科, 3.北播磨総合医療センター 心臓血管外科)

Keywords:DVT, AAA

【はじめに】下肢静脈エコーの検査手順に関する成書やガイドラインを参考にすると，下肢腫脹が無く，大腿静脈での所見も良好な場合には，腸骨領域検索を省略されることが容認される。しかし，動脈瘤などの症例にしばしば遭遇することもあり，主目的以外にどのような所見が見られるのかをまとめた報告は少ない。【目的，機器および方法】腸骨領域を主対象として，下肢静脈エコー検査時に見られた主病変以外の所見をまとめること。検査機器は，東芝社製aplio500，GE社製ロジックS8を使用し，高周波リニアプローブとコンベックスプローブを使い分けた。対象は2013年10月から2014年4月までに下肢静脈エコー検査を行った241例中，腸骨・腹部領域も観察を行った91例(男41例，女50例，年齢40から93歳・平均73歳)とした。検討項目は，主病変所見の分布と主病変以外所見の分布とした。【結果】91例の検査目的は，下肢腫脹・痛み27例，D-Dimer高値6例，DVT経過観察15例，静脈瘤13例，DVT除外等30例であった。無特記所見9例であった。有意病変部の内訳は，腸骨静脈血栓4例，大腿～膝窩静脈血栓10例，下腿静脈24例。表在静脈では35例に所見が見られた。静脈疾患以外の所見は，大動脈拡張・瘤5例，腸骨動脈拡張・瘤6例，閉塞性動脈硬化性病変10例，リンパ節腫脹6例，膝窩嚢胞7例，動静脈瘻1例，皮下浮腫26例であった。【まとめ・考察】下肢静脈エコー検査に際して，静脈以外の所見が見つかる頻度は低くなく，重要な所見も含まれる。特に動脈瘤は意識しないと検索範囲から外されることが危惧される。時間効率のみを追求するのではなく，主病変以外にも気を配れるように検査に習熟することも，大切な検査技術と思われる。