第55回日本脈管学会総会

講演情報

会長要望演題

保険収載された内視鏡下筋膜下不全穿通枝切離術2

2014年10月31日(金) 09:40 〜 10:20 第2会場 (アイシアター)

座長: 春田直樹(たかの橋中央病院 血管外科)

09:40 〜 10:20

[PR-15-4] 下肢静脈瘤に対する当院での内視鏡下筋膜下穿通枝手術の成績

武田亮二 (洛和会 音羽病院 脈管外科)

キーワード:SEPS, varicose vein

下肢静脈性潰瘍の治療においては表在静脈(伏在静脈)の処理に加えて,不全穿通枝の処理も必要となる場合が多い。本年4月に保険収載された内視鏡下筋膜下穿通枝手術(以下SEPS)を当院では2011年から導入している。今回,現在までのSEPS症例を後ろ向きに検討したので報告する。2014年4月までに11例15肢に施行した。男性1例,女性10例,C4:8肢,C5:1肢,C6:6肢,平均年齢68.1歳。前治療ありが9例 なしが6例であった。手術は全身麻酔下に,春田らの方法に従い,TWO PORT SEPSで行った。初発例が7肢,再発例が8肢,再発の前治療歴はストリッピングが5肢,結紮術が3例であった。SEPSと併施した手術はストリッピング1肢,結紮術が2肢,EVLAと併施した例が6肢,植皮と併施した例が1肢であった。フォロー期間は平均20か月(11~32か月)。全例,症状は軽快,C6症例も全例潰瘍は治癒している。1例に術後蜂窩織炎を発症したが深部静脈血栓症やコンパートメントなど重篤な合併症は経験しなかった。SEPSは本来ないスペースを筋膜下に作成して直接不全穿通枝を処理する内視鏡の利点を生かした術式である。本邦では先進医療として2000例以上施行されている。本年4月よりC4以上の下肢静脈性潰瘍の穿通枝に対する治療として保険収載された。皮膚の障害を伴う下肢静脈瘤治療において,SEPSは有効な手段となりうる。今後,不全穿通枝の診断も含め,SEPS手技の洗練,標準化をすすめて,下肢静脈性潰瘍治療として本邦に定着させたいと考えている。