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[PR-7-1] Behcet病に伴う大動脈疾患に対して,手術治療を行った3例についての検討
Keywords:Behcet disease, aortic repair
Behcet病(BD)に伴う大動脈疾患は,頻度は少ないもののBD症例の予後を不良にする重要な病態である。その治療の成否が,BD症例の予後を左右するといっても過言ではない。今回,3例のBDによる大動脈疾患に対して,外科治療を行う機会を得たので報告する。1例目は,当院紹介時60歳の女性。プレドニゾロン(PSL)内服後41年目の60歳時に,大動脈弁閉鎖不全症(AR),Valsalva洞動脈瘤(無冠洞)による心不全を発症し,大動脈弁置換術(AVR)+Valsalva洞動脈瘤入口部パッチ閉鎖を施行。術後3年が経過し,他血管病変の再発を認めていない。2例目は,紹介時46歳の女性。紹介元にて,40歳時,左鎖骨下動脈瘤に対して瘤切除施行。42歳時,腹部大動脈瘤に対して人工血管置換術施行。43歳時,ARに対して,AVR施行。当院紹介後より,PSL開始。49歳時,下行大動脈瘤に対して,ステントグラフト内挿術(TEVAR)施行。50歳時,Valsalva洞動脈瘤に対して大動脈基部置換術施行。52歳時,TEVAR後のendoleakによる瘤拡大に対して,再手術を検討中である。3例目は,同17歳の女性。16歳時,陰部潰瘍,ぶどう膜炎を発症し,PSL開始。これを中止した4ヶ月後の17歳時,弓部大動脈瘤に対して弓部大動脈人工血管置換術施行。半年後に中枢側吻合部仮性動脈瘤に対してTEVARを施行し,3ヶ月が経過した。本症例は,社会的事情によりコルヒチンの内服のみで経過を見ざるを得ない状況である。まとめ。BDに伴う大動脈病変を有する3症例に対して,8回の手術,うち2回の血管内治療を施行した。BDに伴う血管病変は多岐にわたり,治療経過も複雑であった。したがって同疾患に対しては,複数回の手術を念頭においた治療戦略をたてることが肝要と考えられた。