第55回日本脈管学会総会

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会長要望演題

難治性血管炎治療の最前線

Thu. Oct 30, 2014 10:30 AM - 11:10 AM 第3会場 (202会議室)

座長: 磯部光章(東京医科歯科大学医学部附属病院 循環器内科)

10:30 AM - 11:10 AM

[PR-7-2] 膠原病に発生した趾・指虚血に対するエンドセリン受容体拮抗剤(ボセンタン)の使用経験

四方裕夫, 野口康久, 小畑貴司 (金沢医科大学病院 血管外科)

Keywords:bosentan, scleroderma

強皮症の正確な数字は不明であるが平成10年で約2万5千人の認定患者が存在する。膠原病に随伴する症状としては皮膚硬化に始まりレイノー現象,皮膚潰瘍へと進行増悪化する事が多い。欧米では膠原病に随伴する皮膚潰瘍に対するエンドセリン受容体拮抗剤は有用とされこの薬剤を用いた治療が一般的とされる。血管拡張剤であるPGE1製剤などの投与を行うことが多いが,通常の投薬内容で改善が得られない皮膚潰瘍を有する膠原病症例を膠原病科より当科に紹介頂き,心エコーで肺高血圧症を有した症例にエンドセリン受容体拮抗剤であるボセンタンの内服加療を開始した。症例は6例で,平均年齢56.67(39~79歳),全て女性。これらの経過,治療効果,合併症,副作用について報告する。基礎疾患は限局性強皮症が3例,MCTDが1例,MCTD+SLEが1例,Overlap syndrome+SLEが1例であった。1例は満足すべき結果が得られる他院(K大学病院皮膚科)への紹介となった。1例は体調不良を訴えPDE阻害剤(シルデナフィル)への変更として現在内服継続中である。残り4例は毎年冬期に発症した皮膚潰瘍は発生せず,チアノーゼも軽減している。6例の内1例に趾切断を行ったが創部は完全に治癒し現在外来にて内服加療継続中である。両側下肢の静脈瘤の抜去術を行った症例が1例あるが,押し並べて有効であり文献的考察を加えて報告する。