第55回日本脈管学会総会

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会長要望演題

心臓大血管に対するリハビリテーション

Thu. Oct 30, 2014 2:10 PM - 3:00 PM 第3会場 (202会議室)

座長: 本多祐(兵庫県立姫路循環器病センター 心臓血管外科), 林富貴雄(大阪府立急性期総合医療センター 血管内科)

2:10 PM - 3:00 PM

[PR-9-4] 末梢動脈疾患患者のリハビリテーションにおける栄養管理

柿岡慶次郎1, 和田敏裕1, 土田博光2 (1.誠潤会水戸病院 心臓・血管リハビリテーションセンター, 2.誠潤会水戸病院 心臓血管外科)

Keywords:peripheral arterial disease, nutrition

【目的】心大血管リハビリテーション(心リハ)施行の対象患者をみると,冠動脈疾患に代表される心疾患患者に肥満傾向が見られるのと対照的に,末梢動脈疾患(PAD)患者ではむしろ羸痩傾向があり,筋量,筋力が低下している印象を受けた。原因として,虚血による筋萎縮や,それによる活動量低下も考えられるが,今回は栄養摂取状態を調査し改善の可能性を検討した。【対象・方法】PADの入院患者37例(男30,女7),平均年齢74.6±9.1歳を対象とし,毎食の主食と主菜の喫食率を計測し,平均値を求め比較した。併せて,栄養状態の指標としてBMI,総蛋白(TP),アルブミン(ALB)を集計し平均値を求めた。【結果】対象者37名の喫食率(%)は,主食80.6±26.1,主菜73.9±31.2で,主食よりも主菜を残していた(p<0.01)。栄養状態は,BMI 21.4±3.5,TP(g) 6.1±0.9,ALB(g) 2.8±0.8であった。【考察】入院中のPAD患者の喫食率は主食,主菜共に不足傾向で,BMI,TP,ALBにおいても基準値を下回る結果であった。下肢虚血に伴う活動量低下が食欲低下をきたし,低栄養となり,筋量,筋力低下がおこるといった悪循環が原因と考えられる。また,主食より主菜を残す傾向がみられたが,これは消化・吸収機能低下の他に,米を大事にする日本古来の風習も影響している様に感じる。全量摂取が困難なのであれば,主食よりむしろ蛋白質を多く含む主菜は残さないよう指導していく必要があると思われる。ただし心リハでは300~500kcal消費する為,指導が誤解されると低栄養状態を悪化させる危険性もある。効率的に心リハを行う為には栄養状態も含めた評価が不可欠であり,リハビリテーション栄養の実践が必要である。