第55回日本脈管学会総会

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シンポジウム

ここまで進化した脈管の基礎研究

Thu. Oct 30, 2014 9:00 AM - 10:30 AM 第3会場 (202会議室)

座長: 吉栖正生(広島大学大学院医歯薬保健学研究科・研究院 心臓血管生理医学教室), 下川宏明(東北大学大学院医学系研究科 循環器内科学分野)

9:00 AM - 10:30 AM

[SY-2-3] 金ナノ粒子を用いた後肢動脈虚血モデルマウスのCTイメージング

河村圭一郎1,2, 権田幸祐1,3, 後藤均2, 濱田庸1, 中川智彦2, 久保田洋介1, 大内憲明4 (1.東北大学 ナノ医科学, 2.東北大学 先進外科, 3.東北大学 医用物理学, 4.東北大学 腫瘍外科)

Keywords:CT imaging, gold nanoparticle

近年,虚血性心疾患や末梢動脈疾患などの動脈硬化性疾患の治療に血管新生メカニズムの概念が応用されている。これまで血管新生療法など新治療の開発には,虚血モデル動物が用いられており,その効果判定は,主に血管造影,レーザードップラーイメージング,組織血管密度の評価で行われてきた。しかし,これらのイメージングでは分解能の問題で血管新生初期段階の可視化が困難であり,そのメカニズムの全貌解明に至らないのが問題であった。近年はこれらのイメージングに加え,X線CTイメージングを用いた解析も行われている。X線CTによる画像診断は,臨床現場において広く用いられており,より高精度な診断が必要な時は,造影コントラストを強化するために造影剤が使用される。しかしながら,既存の造影剤は低分子であることから急速に腎臓から排泄されるため,血液滞留時間が短時間に限定され,微小血管の可視化が極めて難しかった。近年,動物実験用造影剤として金ナノ粒子を用いたイメージングが報告されている。金ナノ粒子は既存の造影剤よりも高いコントラストを得ることが可能で,核の周囲を水溶性の有機外殻にて囲まれていることで長い血液滞留性を有する。今回我々は,後肢動脈虚血モデルマウスを作成し,金ナノ粒子を投与しX線CT撮影を行った。その結果,金ナノ粒子によって,arteriogenesisに伴う深大腿動脈の拡張とコークスクリュー様血管の発達を高コントラストでイメージングすることに成功した。本発表では,arteriogenesisにおける3次元的な血管再構築を高分解能(ボクセルサイズ:9μm)で詳細に解析した結果を報告し,末梢動脈疾患の治療法開発への応用展開について議論する。