弓部大動脈瘤に対するステントグラフト治療 (chimney vs debranching)

[SY-4-2] 弓部大動脈瘤に対するHybrid TEVAR手術術式の変移と成績―非開胸Debranch±TEVARの有用性―

^〇佐伯宗弘, 中村嘉伸, 原田真吾, 掘江弘夢, 倉敷朋弘, 小林太, 大月優貴, 大野原岳史, 岸本祐一郎, 西村元延 (鳥取大学 心臓血管外科)

Keywords:TEVAR, Debranch

【背景】当科では高齢者弓部大動脈瘤に対し積極的に様々なHybrid TEVARを行ってきた。しかしOpen Stent法は不全麻痺の多さ，Chimmny法はgutterリークが避けられないこと，またDebranch法の中でもZ0に対するTotal debranchは開胸を必要とする侵襲性や脳梗塞の多さからいずれの術式も行わなくなり，最終的に当科での弓部大動脈瘤に対するHybrid TEVAR術式は，Z1より末梢の非開胸Debranch(2-Debranch，1-Debranchおよび0-Debranch[LSA単純遮断]TEVAR)およびTAR+ET+2nd TEVARのみとなった。今回非開胸Debranch症例についての当科の治療成績を報告する【術式】Debranchは，2-Debranchは，右Ax-左Ax-左CCA Bypass，1-Debranchは，右Ax-左Ax Bypassを一期的に施行。全例術前に頭蓋内動脈の交通および左右椎骨動脈の優位性を確認し，左CCAは単純遮断下(約10分)に吻合。また全例脳梗塞予防目的にLSAをバルーン閉鎖している。【対象】2008年12月～2014年6月のTEVAR 224例中，定期手術の非開胸Debranch±TEVARは65例(29％)。平均年齢は76歳で，術式は，2-D:31例，1-D:16例，0-D:18例。Deviceは，TAG:40例，TX2:4例，Relay:21例。【結果】全例手技は成功(100％)，手術死亡1例，病院死亡1例。術後脳梗塞1例，脊髄虚血0例であった。リハビリ施設への転院3例で，遠隔期成績は，大動脈食道瘻:1例，Type1aリークに対する追加TEVAR:2例。【結論】当科における弓部大動脈瘤に対する非開胸Debranch±TEVARの手術成績はHigh risk症例であることを考慮すると十分満足できるものであった。しかしながら，様々な工夫を行ってもZ0症例に対するHybrid手術の成績は満足とはいえず，今後Z0症例に対するHybrid手術は枝付きステント等の新たなdeviceの登場が切に待たれる