第76回セメント技術大会

協会長ご挨拶

 
第76回セメント技術大会開催にあたって
 
 セメント技術大会は、今年で第76回を迎えました。一昨年は新型コロナウイルスの感染拡大に鑑み余儀なく中止とし、昨年はコロナウイルス感染症対策として実施方法をオンライン形式としましたが、今年は三年ぶりに、オンライン形式との併用ではありますが、会場での開催と致しました。
 本大会は、1947年に第1回を開催して以来、セメント・コンクリートに関する基礎研究から、高度化・多様化するユーザーニーズに応える新技術の開発まで、幅広い内容の研究発表の場として、多くの研究者や技術者の皆様にご参加いただき、この間セメント産業の発展とセメント・コンクリート技術の向上に貢献してまいりました。今後も本大会を通じて技術の開発・向上を促進することで、私どもセメント産業は国民の生命と財産を守るインフラ構造物に必須となるセメントの安定供給、循環型社会の促進などの社会的責務に貢献してまいります。また喫緊の課題として、2050年カーボンニュートラル実現のカギとなる技術開発にも積極的に取り組んで参りたいと考えております。
 さて、今大会の概要ですが、一般発表の件数は130件と例年並みとなっております。発表内容の内訳は、環境・リサイクルに関するものが23件、コンクリートの耐久性が17件、混和材・混合材・混合セメントが14件、フレッシュコンクリートが8件、セメント系新材料およびセメント、モルタルの性質と物性が7件などとなっており、今回も多岐に亘ってセメント・コンクリートの材料科学の研究発表が行われます。また、130件の約8割が優秀講演者の選考対象となる35歳以下の方からの発表であり、昨年に比べて多くのエントリーとなりました。今年も本大会が若手研究者・技術者の登竜門としての役割を果たしているものと手ごたえを感じております。
 特別講演では公益財団法人地球環境産業技術研究機構(RITE)の山地憲治理事
長から「脱炭素社会実現に向けたイノベーションと社会実装」と題してご講演い
ただきます。現在の世界的な重要課題であるカーボンニュートラル実現への取り
組みに極めて有意義な知見を提供いただけると期待しています。
 本大会が、セメント・コンクリートの研究者・技術者の方々にとって、成果を発信する場、情報・意見交換の場として有用な機会となること、研究者・技術者の人材育成の貴重な機会となることを願ってご挨拶とさせていただきます。