Japan Association for Medical Informatics

[3-F-1-03] パフォーマンス指標を現場にフィードバックすることで高齢者糖尿病医療の質を改善させる枠組みの構築

*Kohta Funakoshi1, Taizo Nakamura1, Fuyuka Miyahara2, Takanori Yamashita2, Atsushi Takada2, Takeshi Tohyama1, Fumiko Yukizane2, Kenji Sakanashi1, Chinatsu Nojiri2, Yoshimi Kakiuchi1, Naomi Takayanagi1, Noriyuki Sonoda3,4, Masaharu Nakayama5, Koji Todaka1, Eishi Baba1, Naoki Nakashima2 (1. 九州大学病院ARO次世代医療センター, 2. 九州大学病院メディカル・インフォメーションセンター, 3. 九州大学大学院医学研究院病態制御内科学, 4. 園田クリニック, 5. 東北大学大学院医学系研究科医学情報学分野)

Real World Evidence, research platform, Clinical Practice Guideline for the Treatment of Diabetes in the Elderly, Performance measures


日本医療研究開発機構医療技術実用化総合促進事業の一環として2018年度より課題「リアルワールドエビデンス(RWE)創出のための取組み」に、12の臨床研究中核病院が参画した。各施設では品質を保ちつつ研究に用いる診療データを出力する研究基盤の構築と人材育成が求められている。品質管理の取り組みを優先すべきデータ項目を明確にするため、RWE創出研究の具体的研究課題を並行して実施する必要があり、一研究を当院で担当することとなった。本研究では2017年に日本糖尿病学会と日本老年医学会により策定された高齢者糖尿病診療ガイドラインが診療現場への浸透が十分と言い難いことに注目し、米国心臓協会(AHA)が実施するガイドラインの浸透を促すプログラム(Get with the Guideline)を参考に、各病院に血糖管理状況をフィードバックすることで診療の質を改善することを最終的な目標とする。まず九州大学病院で先行して入院歴のある高齢者糖尿病患者の診療情報を網羅的に抽出して解析を行い過去5年間にわたる糖尿病の診療実態を明らかにした。本ガイドラインは、重症低血糖が危惧される薬剤の使用がある場合に、血糖コントロールの目標下限を設定した点が新しく、また細分化して血糖コントロールを寛容にすべきグループを設定しているが、それを受けて、ガイドラインが発行された翌年の2018年度は、血糖コントロールが寛容になっていたものの、2019年度には揺り戻しが起きて厳格になっていた。2020年8月より順次多施設に拡大したところであり、シンポジウムでは、他施設での準備状況についても併せて報告する。