[3-B-2-04] デジタル・トランスフォーメーション・DXを推進する上での看護の意識改革
Digital transformation, Nursing information system, Nursing service
我が国における医療のICT化は遅れていると言われ,その中でも看護のICT化は特に遅れていると指摘されていた.1960年代から,複雑な3交替制の勤務表作成をコンピュータで解くという試みが開始され,1980年代になると,看護過程という概念が我が国の看護界にも導入され,その概念を基盤として看護情報システムが構築された.1990年代になると,ベッドサイドケア端末の開発が行われるようになったが,スマートフォン・タブレットなどの携帯端末や無線LANのような情報通信機器は普及しておらず,ノートPCを各病室の有線の情報コンセントに繋いでデータの入出力を行っていた.次いで,2000年代になると電子カルテ時代を迎え,チーム医療を牽引する情報収集の担い手として,新たな役割が期待されるようになった.また,これらの蓄積されたデータの2次利用に関する研究や臨床へのフィードバックなどが積極的に行われるようになった.最近ではクラウドやモバイル等の普及とあいまって,在宅看護や災害看護などへICTやIoTの応用が拡大している.さらに,個人の医療・介護・健康データであるPHRを,本人同意のもと,患者本人の自己管理促進,オンライン診療との併用・電話再診での活用など様々なサービスに活用することが可能となった. このように,看護のデジタル・トランスフォーメーション・DXについては,社会のニーズや看護自らの努力によって,一定の成果は得られたと評価している.しかし,今後はデジタル化時代に対応するための看護の改革を推し進める必要がある.すなわち,「看護が医療環境を取り巻く激しい変化に対応し,データとデジタル技術を活用して,患者や社会のニーズを基に,看護サービスを変革するとともに,業務そのものや,組織,プロセス,文化・風土を変革し,競争上の優位性を確立すること」を目指す必要があることについて,参加者の皆様と考えてみたい.