Japan Association for Medical Informatics

[2-J-4-04] 言語モデルによる超音波検査の優先度評価

*Kanato Masayoshi1, Masahiro Hashimoto1, Naoki Toda1, Goh Kobayashi1, Hasnine Haque1, Moemi Urano1, Masahiro Jinzaki1 (1. 慶應義塾大学 医学部)

Natural Language Processing, Large Language Model, Resource Allocation, Ultrasonography, Hospital Information Systems

【背景】当院では超音波などの画像検査がキャンセルされて枠が空いた場合に、代わりに入院患者の優先度の高い検査を実施するキャンセル待ち登録システムを運用している。割り当てられる検査は、事前に放射線科医が検査の依頼目的に基づいて判定した5段階の優先度に基づく順位で決定される。この順位によって、依頼した医師は検査の大まかなタイミングが分かる。しかし、現在のシステムでは放射線科医による判定が行われるまでの間は順位が分からないという課題があった。そこで本研究では、依頼目的に基づいて優先度の目安を出力する機械学習モデルを検討した。【手法】2020年1月から2023年3月までに当院のキャンセル待ち登録システムに登録された症例を対象とし、依頼医が重複しないように学習と評価データに分割した。次に、医療論文で事前学習されたJMedRoBERTa、一般の日本語文章で事前学習されたLukeの2つのモデルに対し、依頼科・検査部位・依頼目的を連結した文字列を入力し、優先度評価値を正解出力としてそれぞれファインチューニングを行った。【結果】学習に2335件、評価に204件の検査依頼データを使用した。JMedRoBERTaとLukeのKendallの順位相関係数はそれぞれ、0.238、0.218であり、二乗平均平方根誤差は、1.236、1.275であった。【考察】モデルによる予測値は、放射線科医による優先度評価の大小関係をおよそ反映しており、キャンセル待ちシステム登録時におおよその優先度の目安を提供するという目的を達成しうると考えられる。特に優先度が低い・高い検査は良く区別できていた。一方、優先度が中程度の場合は、優先度評価が評価者や評価日によって異なるため予測が難しかった。今後は、優先度基準や前処理の工夫、大規模言語モデルなど他のモデルを用いた検討も行う予定である。